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SGLT2阻害薬「スーグラ」高齢者対象の全例調査の中間解析結果を公表-アステラス

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2016年03月04日 PM04:00

副作用発現症例率は10.06%、治験時と比較して低く

アステラス製薬株式会社はSGLT2阻害薬「スーグラ」の高齢者を対象とした、特定使用成績調査()「STELLA-ELDER」の中間解析結果が「Expert Opinion on Pharmacotherapy」に2016年1月20日付けで掲載されたことを発表。これを受けて3月3日に都内でプレスセミナーを開催した。同調査の調査期間は2014年4月の発売後から2015年7月まで。スーグラ錠発売後3か月間に同剤を服用した高齢者(65歳以上)2型糖尿病患者7,170例が対象。


千葉大学大学院医学研究院 細胞治療内科学講座 教授
横手幸太郎氏

中間解析結果によると、副作用発現症例率は10.06%(721例)だった。主な副作用には頻尿(71例)、陰部そう痒症(56例)、薬疹(48例)、浮動性めまい(39例)、口渇(38例)(30例)だった。、脳血管障害、皮膚関連疾患、尿路/性器乾癬は、投与開始後早期に発現する傾向が認められた。

投与開始から30日未満の期間に認められた副作用は、多尿・頻尿で66.0%、体液量減少を伴う副作用で49.7%、皮膚疾患で60.0%だった。また、転帰別では、性器感染症、尿路感染症、多尿・頻尿、体液量減少を伴う副作用、皮膚疾患は、未回復または不明を一部認めたが、ほとんどが回復または軽快した。

高齢者の糖尿病治療の在り方が変わるきっかけになるか

SGLT2阻害薬の処方に関しては、日本糖尿病学会の「SGLT2阻害薬の適正使用に関する委員会」が2014年6月13日に「SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation」を公表(2014年8月29日に改訂)。「高齢者への投与は、慎重に適応を考えたうえで開始する。発売から3か月間に65歳以上の患者に投与する場合には、全例登録すること」としている。また、日本老年医学会が2015年末に発行した「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」でも「可能な限り使用せず、使用する場合は慎重に投与する」としている。

今回の全例調査の監修医師である横手幸太郎氏(千葉大学大学院医学研究院 細胞治療内科学講座 教授)は「今回の全例調査から、注意すべき副作用がはっきりしてきたように思う。これまでの“一律65歳以上には慎重投与”という考え方から、コミュニケーションがしっかりとれ、水分補給など自己管理ができる高齢者には、注意喚起したうえで処方するケースがあっても良いのではないか」と語り、今後、相次いで報告される予定の他剤の全例調査の結果に期待を寄せた。

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