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Muse細胞を用いたヒト3次元培養皮膚を実用化へ−NEDOら

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2014年12月15日 PM09:00

細胞の修復機能を利用した再生医療を実現

新エネルギー・産業技術総合開発機構()は12月11日、東北大学と株式会社Clio等のグループとともに、Muse細胞から皮膚のメラニン色素を産生するヒトのメラニン産生細胞を安定的に調製する方法を開発し、ヒト3次元培養皮膚を作製する実用化可能な技術を確立したと発表した。


画像はプレスリリースより

NEDOはこれまで、新薬開発や移植医療などへの利用を目指す再生医療技術の開発を進めてきた。その成果の一つとして、2010年に東北大学大学院医学系研究科の出澤真理教授らのグループによってMuse細胞が発見されていた。この細胞は、ヒトの皮膚、骨髄、脂肪等に広く存在する腫瘍性を持たない多能性幹細胞であり、生体内において傷害を受けた組織に自発的に移動し修復する働きをすることから、このような修復機能を利用することで安全で有効性の高い再生医療が実現されるものと期待されていた。

医薬品や化粧品等の開発実験に用いるキットを販売

メラニン産生細胞は、紫外線による皮膚の障害や悪性腫瘍の発生を抑えるメラニンを産生するが、それ自体を大量培養することが難しい細胞であり、従来の技術では安定的に得ることが困難だった。今回確立された技術は、培養したMuse細胞に分化誘導処理を施してメラニン産生細胞とすることで、再現よく大量製造することが可能となり、これを用いた3次元培養皮膚の安定供給も実現したという。

Clioは、この技術をDSファーマバイオメディカル株式会社にライセンスし、医薬品・化粧品等の開発におけるスクリーニングや製品性能検証等の用途に用いるキットの販売を、2015年1月15日から予定している。

この実用化により、医薬品や化粧品等の開発において動物実験を行うことなく、ヒトの皮膚により近い培養皮膚を用いた製品機能の検証が可能になるという。さらに、医薬品や化粧品等による白斑症等の副作用や化粧品の美白効果も検証可能となり、安全性や効能の高い製品の開発が促進されることが期待されている。(

▼外部リンク
新エネルギー・産業技術総合開発機構 ニュースリリース

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