医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医療 > 京大 網膜色素変性の進行抑制効果を有する新規化合物の開発に成功

京大 網膜色素変性の進行抑制効果を有する新規化合物の開発に成功

読了時間:約 1分6秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2014年08月14日 PM02:15

ATPase活性に対する阻害剤「

京都大学は8月6日、VCPという蛋白質のATPase活性に対する阻害剤(KUS化合物)が、神経保護効果と網膜色素変性の進行を抑制する効果を持つことを、網膜色素変性モデルマウスを用いて明らかにしたと発表した。


画像はプレスリリースより

この研究成果は、同大大学院 生命科学研究科の垣塚彰教授、同医学部附属病院の池田華子准教授ら研究グループと、医学研究科眼科学教室の吉村長久教授、Daito Chemix株式会社らの共同研究によるもの。英科学誌「Scientific Reports」電子版に8月6日付で公開されている。

医薬品化を目指し、数年以内に臨床研究を開始する計画

研究グループは、体中の細胞に大量に存在し、細胞内のエネルギー源であるATPを消費する蛋白質(ATPase)の一種であるVCPに着目し、ATP消費を抑制する低分子化合物を新規に合成。その中から、細胞・神経保護活性のあるものを同定し、「KUS(Kyoto University Substance)」と名付けたという。続いて、KUS化合物を網膜色素変性モデルマウスに投与したところ、網膜色素性の進行抑制効果を確認したとしている。

この結果は、現在では進行を抑制する根本的な治療法のない網膜色素変性に対する治療薬の開発、さらには網膜神経の細胞死によって引き起こされる他の眼疾患や神経変性への応用も期待できるという。

今後は、KUS化合物の医薬品としての開発を目指し、

医薬品品質での製剤化、GLPレベルでの動物での安全性試験を実施後、短期間で神経保護効果の判定ができる眼難治疾患を対象とした、臨床研究を数年内に開始する計画です。( プレスリリースより引用)

と述べている。(小林 周)

▼外部リンク
京都大学 プレスリリース

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 医療

  • 肝線維化の治療薬候補を同定、iPS細胞から誘導の肝星細胞で-東大ほか
  • 「ストレス造血時」における造血幹細胞の代謝調節を解明-東北大ほか
  • 食道扁平上皮がんで高頻度のNRF2変異、がん化促進の仕組みを解明-東北大ほか
  • 熱中症搬送者、2040年には日本の都市圏で2倍増の可能性-名工大ほか
  • 日本人がアフターコロナでもマスク着用を続けるのは「自分がしたいから」-阪大ほか