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サッポロビール 乳酸菌によるセロトニンを介した自律神経への作用を世界で初めて発見

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2014年04月02日 PM04:10

ANBASとの共同研究で発見

サッポロビール株式会社は3月25日、大阪大学の永井克也名誉教授が代表を務める株式会社ANBASとの共同研究により、殺菌処理した「SBL88」が腸でのセロトニン放出を促進させること、またセロトニンを介し、自律神経に作用することを世界で初めて発見したと発表した。

サッポロビールでは、これまでの研究で「SBL88乳酸菌」について、整腸作用のほか、ストレス性の睡眠障害を改善させる効果や自律神経を介した保湿効果、飲酒による肝機能低下の改善効果などがあることを明らかにしてきた。そこでさらに腸の蠕動運動や神経刺激伝達に関与するホルモンであるセロトニンに注目し、複数の試験を実施、今回の発見に至ったという。

(画像はプレスリリースより)

3種の試験でSBL88乳酸菌の効果を検証

今回の研究では、まず1つ目の試験として、マウスの腸管を切り出し、腸内にSBL88乳酸菌を含んだ水を投与、腸管外に放出されるセロトニン量を測定した。すると、対照とした注射用水の場合に比べ、SBL88乳酸菌投与群では、セロトニン放出量が有意に増加することが確認されたという。

次に、SBL88乳酸菌投与の自律神経活動への影響を調査。SBL88乳酸菌を0.1mg含んだ1mLの水を、セロトニン受容体阻害剤の有無の条件下で、麻酔を施したラットの十二指腸に投与し、経時的に求心性腸迷走神経の活動を測定した。その結果、「SBL88乳酸菌」を投与した際の腸迷走神経活動亢進作用は、セロトニン受容体の阻害剤存在下で、その効果が消失したという。

さらに同様の試験方法により、経時的に遠心性胃迷走神経と遠心性皮膚動脈交感神経の活動変化も測定。SBL88乳酸菌投与時の遠心性胃迷走神経促進作用と遠心性皮膚動脈交感神経抑制作用は、いずれもセロトニン受容体阻害剤の存在下で、その効果が失われることが分かった。

セロトニンが胃迷走神経の活動亢進、消化機能向上に関与か

サッポロビールによると、これまでの研究でSBL88乳酸菌の摂取により、皮膚動脈交感神経が抑制されて、保湿が促進されることが明らかとなっている。今回の試験結果から、この皮膚交感神経を介した保湿効果には、セロトニンが関与していることが新たに判明したという。また、遠心性胃迷走神経活動亢進は、消化機能促進に関与することが分かっており、セロトニンが胃迷走神経の活動亢進に関わり、消化機能を高めることが考えられるとしている。

これらの試験結果から、SBL88乳酸菌が腸管でセロトニンを放出させ、そのセロトニンが自律神経を刺激して、さまざまな作用をもたらしていることが明らかとなった。同社では、今後のさらなる研究により、この乳酸菌のさまざまな機能メカニズムを詳細に解析していくとしている。(紫音 裕)

▼外部リンク

サッポロビール株式会社 ニュースリリース
http://www.sapporobeer.jp/news_release/0000020778/

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