医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医療 > タカラバイオと京都府医大 小腸潰瘍におけるアガロオリゴ糖の予防効果を発見

タカラバイオと京都府医大 小腸潰瘍におけるアガロオリゴ糖の予防効果を発見

読了時間:約 1分22秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2014年01月31日 PM03:10

寒天由来アガロオリゴ糖に小腸潰瘍の予防効果

タカラバイオ株式会社は1月21日、京都府立医科大学との共同研究により、寒天由来アガロオリゴ糖に小腸潰瘍を予防する効果があることを明らかにしたと発表した。この研究成果は1月21日、学術誌「Journal of Gastroenterology and Hepatology」にオンライン公開された。

アガロオリゴ糖は、寒天の主成分であるアガロースの酸加水分解によって生成する2〜8糖のオリゴ糖。タカラバイオによるこれまでの研究により、アガロオリゴ糖の持つ、抗関節炎作用・大腸炎予防作用・皮膚炎症抑制作用・発がん予防作用等の機能性が明らかとなっている。

(画像はWikiメディアより引用)

非ステロイド性抗炎症剤によって誘導される小腸潰瘍

非ステロイド性抗炎症剤はNSAIDs(non-steroid anti-inflammatory drugs)と呼ばれ、代表的なものとしてはインドメタシンやアスピリンなどが挙げられる。抗炎症作用や鎮痛作用、解熱作用をもち、関節炎など炎症性疾患の治療に広く用いられている。しかし一方で、この非ステロイド性抗炎症剤は、副作用として消化管に潰瘍を起こすことが問題となっている。

アガロオリゴ糖をマウスに投与

同研究グループは、この副作用である小腸潰瘍に対する寒天由来アガロオリゴ糖の効果を、マウスを用いて評価したという。非ステロイド性抗炎症(インドメタシン)を皮下投与したマウスの小腸組織の解析した結果、アガロオリゴ糖を経口投与したマウスでは、非ステロイド性抗炎症剤による小腸の潰瘍や腸管膜構造の破壊が強く抑えられていることが分かった。

また、正常マウスにアガロオリゴ糖を投与した場合は、抗炎症作用を持つタンパク質であるヘムオキシゲナーゼ-1が小腸粘膜で強く発現することが確認された。これらの結果から、アガロオリゴ糖の投与により腸管におけるヘムオキシゲナーゼ-1の発現が誘導され、小腸の潰瘍が予防されることが示された。

同社では、アガロオリゴ糖を含む機能性食品素材についても、さらに研究開発を進めていく予定としている。(鈴木ミホ)

▼外部リンク

タカラバイオ株式会社 プレスリリース
http://www.takara-bio.co.jp/news/2014/

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 医療

  • 肝線維化の治療薬候補を同定、iPS細胞から誘導の肝星細胞で-東大ほか
  • 「ストレス造血時」における造血幹細胞の代謝調節を解明-東北大ほか
  • 食道扁平上皮がんで高頻度のNRF2変異、がん化促進の仕組みを解明-東北大ほか
  • 熱中症搬送者、2040年には日本の都市圏で2倍増の可能性-名工大ほか
  • 日本人がアフターコロナでもマスク着用を続けるのは「自分がしたいから」-阪大ほか