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新型コロナのパンデミック抑止に「遠紫外線」が有効な可能性

読了時間:約 1分40秒
2025年06月06日 AM11:00

波長の短い紫外線Far-UVCが将来のパンデミック抑止に有効か

米国が新型コロナウイルス感染症()に初めて見舞われてから5年が経過し、科学者たちは、影響力の強い他のウイルスが現れた際に、その伝播を食い止めるための方法を模索している。その解決策の一つが、(遠紫外線)と呼ばれる紫外線であるとCBSニュースが報じている。


画像提供HealthDay

人体に有害となり得る通常のUVC(紫外線C波)とは異なり、Far-UVCはUVCよりも波長が短く(200~240nm付近)、皮膚の表皮や角膜の涙液層を通過しないため、人体にダメージを与えることなく空気中のウイルスや細菌を除去することができるという。米コロンビア大学の物理学者であるDavid Brenner氏は、「紫外線は、細菌かウイルスかといった細かい事は気にしない。基本的に、その両者全てを殺すことができる」と話す。

現在、Far-UVCは、ボストンのナイトクラブ、コロンビアの歯科医院、ニューヨークのマウントサイナイ病院のリハビリセンターなどで試験的に導入されている。具体的には、空気の流れと湿度をコントロールできる専用の部屋を設け、Far-UVCの使用前と使用後に空気中のウイルス量を測定して、その効果を検討している。Brenner氏は、「開発は、ゆっくりだが着実に進んでいると言える」とCBSニュースに語った。一方、米疾病対策センター(CDC)は、「Far-UVCは有望だが、安全で効果的であることを確認するにはさらなる研究が必要だ」と述べている。

米マウント・サイナイ・アイカーン医科大学教授のDavid Putrino氏は、リハビリセンターにライトを設置した。同氏は、「われわれは文献を徹底的に調べた。その結果、安全性に関する懸念は大きく軽減された」と語る。

専門家によると、Far-UVCはインフルエンザや新型コロナウイルスのように空気感染するウイルスの除去に役立つ可能性があるという。また、鳥インフルエンザが人類にとって深刻な脅威となった際にも有効な手段と成り得る。

Brenner氏は、「われわれは、いつか必ずやって来る次のパンデミックを少しでも食い止めたいと考えている。鳥インフルエンザウイルスによるものか、未知のウイルスによるものかは分からないが、いつかパンデミックは再び発生するだろう」と述べている。(HealthDay News 2025年4月10日)

▼外部リンク
Preparing and preventing epidemics and pandemics

 

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