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高血圧に対して多くの人がしている「誤解」とは?-米調査で判明

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2025年06月24日 AM11:00

高血圧に関する米国人の誤解の多さが明らかに

米ペンシルベニア大学アネンバーグ公共政策センターが6月6日に発表した新たな調査結果において、米国人の3分の1以上が、高血圧はめまいや息切れなどの明らかな症状を伴うものと誤解していることが示された。


画像提供HealthDay

血圧は、心臓の拍動によって動脈にかかる圧力を示す指標であり、心臓が収縮して血液を送り出すときの収縮期血圧(上の血圧)と、心拍と心拍の間の安静状態にあるときの拡張期血圧(下の血圧)の2つで表される。米国心臓協会()と米国心臓病学会()は、2017年に高血圧の定義を従来の140/90mmHgから130/80mmHgに引き下げた。(CDC)によると、2022年に米国では高血圧が68万5,000人以上の死亡の主因、または一因であったという。

この調査は、米国を代表する1,653人の成人を対象に、2025年4月15〜28日に実施された。標本誤差(サンプル調査での推定値と母集団の真の値との差)は95%信頼水準で±3.4パーセントポイントであった。

調査参加者の35%が高血圧の診断を受けており、また69%は自分以外の家族に高血圧があると報告していた。このように有病率は高かったにもかかわらず、4人に1人(24%)は、高血圧の基準値に関する5つの選択肢のうち、130/80mmHgと正しく答えた人は13%にとどまっていた。残りの25%は以前の基準値である140/90mmHgを、16%は140/80mmHgを、18%は130/90mmHgを選んでおり、24%は「どれが正解か分からない」と答えた。

米ペンシルバニア大学アネンバーグ公共政策センター所長のPatrick Jamieson氏は、「血圧をコントロールすることで心筋梗塞や脳卒中など深刻な健康問題のリスクが軽減されるため、高血圧を特定する方法に関する誤解を正すことは、公衆衛生上の優先事項であるべきだ」と述べている。

また、CDCは、「高血圧には通常、明確な兆候や症状は現れない」としているが、この点を正しく理解していたのは39%(高血圧の人50%、高血圧ではない人33%)に過ぎず、37%は、高血圧には必ずと言っていいほど、めまいや息切れなどの自覚できる症状を伴うと勘違いしていた。さらに39%は、落ち着いてリラックスしていることは、血圧が正常であることを示す兆候だと誤解していることも判明した。AHAは、高血圧は症状を伴わないゆえに「サイレントキラー」と呼ばれていると述べている。

一方で、80%の人は、高血圧の家族歴がある場合、血圧を効果的に下げる手立てはないと考えるのは間違っていることを正しく理解していた。また、どの対策が血圧の低下に役立つかについても、多くの人が正しく認識していた。具体的には、「健康的な体重の維持」は91%、「定期的な運動」と「健康的な食生活」はそれぞれ89%、「降圧薬の使用」は84%、「塩分摂取量の削減」は82%が効果的な方法として正しく認識していた。

APPCの調査アナリストであるLaura Gibson氏は、「血圧を下げる習慣についての国民の知識レベルの高さは心強い。これは、これらの健康指標を国民の意識の中心に据えてきた医療提供者と公衆衛生機関の努力の賜物である」と述べている。ただし、全ての人がこうした習慣を取り入れているわけではない。週に1回以上これらの習慣を実践していると答えた人の割合は、「健康的な食事」が72%、「定期的な運動」が61%、「塩分摂取量の削減」が57%にとどまっていた。(HealthDay News 2025年6月12日)

▼外部リンク
Many Americans Unaware High Blood Pressure Usually Has No Noticeable Symptoms

 

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