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ブロッコリーのスルフォラファンに肥満抑える効果あり-金沢大とカゴメ

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2017年02月22日 AM10:45

スルフォラファンの餌を与えたマウスで脂肪肝と血糖値の上昇が抑制

金沢大学は2月15日、カゴメ株式会社と共同で、ブロッコリーの新芽(ブロッコリースプラウト)に多く含まれる「」に肥満を抑える効果があることを、マウスを用いた動物実験で明らかにしたと発表した。この研究は、同大学医薬保健研究域附属脳・肝インターフェースメディシン研究センターの太田嗣人准教授と医薬保健研究域医学系の長田直人助教の研究グループが行ったもの。研究成果は、米国糖尿病学会誌「Diabetes」オンライン版に掲載された。


画像はリリースより

ブロッコリースプラウトに多く含まれるスルフォラファンは、Nrf2という細胞内の酸化・還元のバランスを調節する分子を活性化し、体内に取り込まれた化学物質の解毒や抗酸化力を高めることで、がんを予防する効果が知られていた。一方、過食や肥満により酸化・還元のバランスが崩れると、さまざまな病気の発症に関与することが近年の研究からわかってきたが、肥満に対するスルフォラファンの効果は明らかになっていなかった。

実験では、スルフォラファンを混ぜた高脂肪の餌を与えたマウスと、スルフォラファンを混ぜていない高脂肪の餌を与えたマウスの体重を比較。その結果、スルフォラファンを混ぜた餌を与えたマウスは体重増加率が約15%抑えられ、内臓脂肪量が約20%減少し、脂肪肝と血糖値の上昇が抑えられていた。

肝臓や脂肪組織の炎症、インスリン抵抗性の改善に期待

さらに、スルフォラファンが脱共役タンパク質1を増加させ、エネルギー消費の増加と脂肪の燃焼をもたらす「脂肪細胞の褐色化」という現象を促進することがわかった。また、スルフォラファンは、内毒素を過剰に産生するデスルフォビブリオ科の腸内細菌の増殖を抑制し、血液中の内毒素を低下させ、代謝性エンドトキシン血症を改善するという作用も発見した。

このことから、脂肪の褐色化を促進することでエネルギー消費を増大させ、肥満を抑制する作用と、高脂肪食による肥満型腸内細菌叢を改善し、代謝性エンドトキシン血症を抑える作用というスルフォラファンの新たな2つの作用がわかった。さらに今回の研究では、遺伝的にNrf2を欠損したマウスにスルフォラファンを混ぜた餌を与えても、体重増加の抑制や褐色脂肪化による脂肪の燃焼といった効果は認められなかったことから、スルフォラファンによる肥満抑制の標的分子としてNrf2が重要であることも明らかとなったとしている。

これらの作用には、肝臓や脂肪組織の炎症、インスリン抵抗性を改善させ、生活習慣病の予防につながる波及効果が期待されると、研究グループは述べている。

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