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日本技術による新しいエイズワクチン候補の臨床試験がアフリカで開始

2013年04月02日 AM04:25
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つくば市、ニューヨーク市

(ビジネスワイヤ)–国際エイズワクチン推進構想(International AIDS Vaccine Initiative:IAVI(イアヴィ)、本部ニューヨーク市)とディナベック株式会社(茨城県つくば市)は、両者が共同で開発したエイズワクチン候補が臨床試験の第Ⅰ相に入ったことを本日発表した。この臨床試験はセンダイウイルスベクターを使った新しいワクチン候補の安全性と副作用の有無、さらにエイズウイルス(HIV)に対する免疫反応を調べる。臨床試験は英国および東アフリカ地域の計三か所で実施される。このセンダイウイルスベクターを用いるエイズワクチンは、日本においてディナベック社、国立感染症研究所(感染研)、東京大学医科学研究所(東大医科研)が共同研究の成果としてきたものである。 

「IAVIとディナベック社の協力は、エイズワクチン開発のためのグローバルなパートナーシップの力を示す優れた一例です」と、IAVIのCEOマーガレット・マックグリン(Margaret McGlynn)は言う。「このパートナーシップによって、革新的な日本のバイオ企業が持つ技術力と、国際的なPDP(途上国向けの医薬品開発のためのパートナーシップ機関)の持つ研究開発と途上国でのノウハウが結び付き、エイズワクチンを最も必要としているアフリカにおける臨床試験に至りました。これは、世界に名だたる日本の科学技術が、世界が直面する緊急課題の一つであるエイズの流行終焉のためにどのような具体的な貢献ができるかを示しています。IAVIは、センダイ・プロジェクトに対する、世界銀行を介して行われている日本政府のご支援にも深く感謝しています。日本政府がエイズワクチンの研究開発に引き続き関わっていくことは、この分野における近年のエキサイティングな進歩を継続するために不可欠であります。」

また、ディナベック社の長谷川護社長は「IAVIとのパートナーシップのもと、我々の開発した最先端のベクター技術で人類が期待するエイズ感染・発症防止のワクチン開発に寄与できることを大変うれしく思っています」と述べている。

今回試験される新しいエイズワクチン候補は、ディナベック社と永井美之博士(当時東大医科研教授)が共同で開発したセンダイウイルスベクター技術を利用し、HIVのgag蛋白遺伝子を抗原とする、SeV-Gと呼ばれるワクチンである。今回の臨床試験では、センダイウイルスベクター・ワクチンの安全性とHIV抗原に対する免疫反応の誘導能を調べる。今回の試験では、単独投与と免疫反応を強化するためにAd35-GRINとよばれる別のワクチン候補との併用投与が試みられる。IAVIなどによって開発されたAd35-GRINの安全性と耐性はすでに臨床試験で実証されている。

これまでディナベック社と共同で、センダイウイルスベクターワクチンの開発を推進してきた俣野哲朗博士(感染研エイズ研究センター長・東大医科研教授)の研究グループは、センダイウイルスベクター・ワクチンの経鼻接種により、サルをSIV(エイズに似た症状をサルに引き起こす免疫不全ウイルス)から予防できることを証明し、引き続き研究を展開している。

IAVIとディナベック社は、感染研と東大医科研の協力も得て、センダイウイルスベクターを使ってエイズワクチンを開発するための共同開発契約を2007年に結んだ。

今回の臨床試験では、センダイウイルスベクターのワクチンが鼻腔に投与された時、体腔を覆う粘膜組織においてHIV抗原に対する免疫反応を誘発するかどうかも調べる。HIVは粘膜から感染することが分かっている。センダイウイルスは動物実験において粘膜局所で免疫反応を起こすことが明らかになっているので、研究者はセンダイウイルスベクターを用いたこのワクチンが、HIV感染防御により効果的ではないかと期待している。

また今回のセンダイウイルスベクターのワクチンは、これまで試験されたワクチン候補とは異なり、人体の中で増殖する特徴を持つ野生型センダイウイルスベクターを利用している。このような増殖型のベクターは非増殖型のベクターを使ったワクチンより、HIVに対して持続してより強い免疫反応を引き起こすことができるのではないかと考えられている。

臨床試験はアフリカ・ルワンダのケガリ市にある、米国エモリー大学のHIV予防研究所であるプロジェ・サンフランシスコで開始された。続いて、ロンドンのチェルシー・アンド・ウエストミニスター病院に属するセント・スティーブン・センターと、認可が下り次第、東アフリカ地域の研究所でも開始される予定である。

HIV/エイズの現状について

エイズの世界的流行が始まってからこれまでに6千万人の人々がHIVに感染し、3千2百万人ほどの人が死亡している。今でも、毎年約250万人の新規感染が発生し、3人が治療を開始する間に新たに5人が感染している。抗ウイルス剤の治療や予防のための投与や自発的な成人男性の割礼など、新しい感染予防ツールや方策の開発における最近のめざましい前進は、エイズの感染拡大のスピードを大いに緩める可能性を秘めている。しかし、研究者の間では「ゼロの新感染」を達成するためにはエイズの予防ワクチンが不可欠であると認識されている。

国際エイズワクチン推進構想(IAVI)について

国際エイズワクチン推進構想(IAVI)は安全かつ有効で入手可能なHIV予防ワクチンを世界中に普及することを目指して活動している国際的な非営利団体です。1996年に設立されたIAVIは25カ国のパートナーのともにエイズワクチン候補の研究開発を展開し、エイズワクチンに関する政策分析やアドボカシー活動を行っています。IAVIの活動は各国政府と、民間企業や財団、個人の善意ある寄付と支援によって支えられています。IAVIについての詳細はwww.IAVI.orgをご参照ください。

ディナベック株式会社について

ディナベック株式会社は、日本の厚生労働省が支援した国家プロジェクトから巣立った完全に民間のベンチャー会社です。国家プロジェクト(ディナベック研究所)は、遺伝子治療や遺伝子ワクチンの開発に不可欠な革新的なベクター技術の開発に成功しました。その一つがセンダイウイルスベクターで、DNAでなくRNAとして機能するため、細胞の染色体を傷つけないという最大のメリットを持っています。同社はこれらのベクターの基本特許やその用途について多数の国際特許権を取得しています。また、現在、日本国内外の研究機関、製薬会社と多様な共同研究と開発を行っています。九州大学病院は、センダイウイルスベクターを用いた重症虚血肢遺伝子治療について2010年に第I/IIa相臨床研究を完了しており、このベクターの安全性とこの治療薬の注目すべき効果の可能性を確認しています。エイズ以外の多様な感染症に対するワクチンの開発も推進中です。また、細胞・再生医療分野において、染色体を傷つけずに効率的に人工多能性幹細胞(iPS 細胞)を調製するシステムを構築し、CytoTuneTM-iPSとして国内外で販売するとともに、創薬分野への応用も展開しています。このように、同社のセンダイウイルスベクターは日本初の遺伝子創薬用ベクターですが、その特徴を生かして、細胞工学や細胞・再生医療にもその応用が期待されています。ディナベック社についての詳細はwww.dnavec-corp.comをご覧下さい。

CONTACT

お問合せ先:
国際エイズワクチン推進構想(IAVI)
渡辺啓子
日本・アジアプログラム・コーディネーター
International
AIDS Vaccine Initiative
+1-646-573-5057
kwatanabe@iavi.org
または
Hester
Kuipers (英語のみ対応可能)
International AIDS Vaccine Initiative
+31-20-521-0343
hkuipers@iavi.org
または
ディナベック株式会社
谷田
洋平 
取締役・管理部長
ディナベック株式会社
029-877-5155
ytanida@dnavec-corp.com
または
上田
泰次 同上
事業本部・遺伝子創薬事業部・部付課長
ディナベック株式会社
029-877-5155
yueda@dnavec-corp.com

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