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日本人の微細な遺伝的差異と食習慣の関連、4万人解析で発見-東大ほか

読了時間:約 2分26秒
2025年08月12日 AM09:20

遺伝的に均質な集団とされてきた日本人、微細な遺伝構造と生活習慣の関連性は未解明

東京大学は7月18日、4万人以上の大規模遺伝子データを解析し、日本人集団内の微細な遺伝構造と食習慣・生活習慣との関連を明らかにしたと発表した。今回の研究は、同大医科学研究所健康医療インテリジェンス分野の井元清哉教授、Chen Yichi特任研究員、シークエンスデータ情報処理分野の片山琴絵准教授、株式会社アルムの石田幸子博士らの研究グループによるもの。研究成果は、「Communications Biology」にオンライン掲載されている。


画像はリリースより
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近年、個人の遺伝子データを詳しく分析し、病気の予防や健康管理に役立てる取り組みが広がっている。特に、機械学習や人工知能による新しい解析技術の発展により、疾患などの個人の属性をあらかじめ与えることなく膨大なデータの中から類似性を見つけ出す「教師なし学習」が、新たな特徴を共有する集団の発見において注目されている。

これまで日本人は遺伝的に均質な集団と考えられてきたが、最新の機械学習解析により、同じ集団内にもわずかな遺伝的違いが存在することがわかってきた。こうした違いは、地域ごとの祖先構成や歴史的移動と関わっている可能性があり、体質や病気のかかりやすさにも影響を与えると考えられている。しかし、こうした微細な遺伝構造と、日々の食習慣や生活習慣との関連性は十分に解明されていなかった。

個人向け遺伝子検査サービス会員4万人以上の日本人データ、機械学習を組み合わせて解析

今回の研究では、株式会社DeNAライフサイエンスが提供した個人向け遺伝子検査サービス「MYCODE」を利用した会員のうち、研究への参加について同意された会員4万人以上の日本人の大規模遺伝子データを対象に、PCA、UMAP、DBSCANといった機械学習手法を組み合わせ、日本人集団内の微細な遺伝構造を解析した。

日本人集団を6つの遺伝クラスタに分類、最終的に4つのクラスタで解析を実施

解析の結果、遺伝的違いによって解析対象の集団は6つの遺伝クラスタに分かれた。中でもクラスタ2(15.2%)とクラスタ3(11.2%)は最も異なる特徴を示し、クラスタ1(54.5%)は集団全体を代表する特徴を持ちながら、クラスタ5(7.8%)やクラスタ6(1.8%)と特に近い遺伝的特徴を共有していた。なお、クラスタ5と6は人数が少なかったため、解析ではクラスタ1とまとめて「クラスタ1*」として扱い、全体を4つのクラスタに分けて解析を行った。

各クラスタが特徴的な遺伝子群と関連、肝機能・血糖制御・日中の睡眠など

次に、各遺伝クラスタに特徴的に関連する遺伝子群を調べるために遺伝子セット解析を行った。その結果、合計64種類の有意な遺伝子群が見つかった。例えば、クラスタ1*では血液中のHDLコレステロール、クラスタ2では日中の睡眠関連形質、クラスタ3では肝機能や血糖コントロール、クラスタ4では「罪悪感を感じる傾向」といった心理的特徴に関連が認められた。

野菜を食べる頻度・牛乳を飲む頻度など食習慣との関連も判明

さらに、年齢・性別・BMIを考慮した統計解析により、食習慣や生活習慣との関連を調べたところ、175項目のうち21項目で有意な関連が認められた。例えば、クラスタ3とクラスタ4では野菜を食べる頻度が高く、クラスタ3では牛乳を飲む頻度も高いなど、各クラスタに特徴的な食習慣や生活習慣が明らかになった。

公衆衛生研究や個別化予防、精密医療の発展に貢献すると期待

これらの結果から、日本人集団内における明確な遺伝的違いが、食習慣や生活習慣、健康指標と複雑に関連していることが示された。「本研究は、こうした遺伝構造と生活習慣の関係を包括的に解析したものであり、今後の公衆衛生研究や個別化予防、精密医療の発展に貢献することが期待される」と、研究グループは述べている。(QLifePro編集部)

 

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