前立腺がん患者648人対象、密封小線源療法の長期成績の効果・安全性を検討
岡山大学は11月26日、「密封小線源療法」による治療を受けた限局性前立腺がん患者648人を対象に長期の経過を調べたところ、治療後10年の時点で9割以上の患者で腫瘍マーカーの再上昇がなく、全体として非常に良好な結果が得られ、また、副作用も少なく、安全性が高いことを確認したと発表した。この研究は、同大学術研究院医歯薬学域(医)腎泌尿器科学の荒木元朗教授と、学術研究院医療開発領域(岡山大学病院腎泌尿器科)の河田達志助教(特任)らの研究グループによるもの。研究成果は、「International Journal of Urology」に掲載されている。

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密封小線源療法は手術と比較して低侵襲であり、入院期間や合併症・排尿障害や性機能への影響が軽減されるという利点がある。同大病院では2004年から限局性前立腺がんに対して密封小線源療法を行っている。研究グループは今回、2004年から20年間にわたって治療を受けた患者648人を対象に、密封小線源療法の長期成績について効果、安全性の両面から検討した。
前立腺がん、密封小線源療法を受けた患者の10年以内死亡1%
研究の結果、年齢の中央値は67歳、診断時PSAの中央値は6.7ng/mL、前立腺容積の中央値は30.4mlであった。全体で10年がん特異的生存率は99%であった。すなわち、前立腺がんでこの治療を受けて10年以内に亡くなった患者は1%だった。治療を要した合併症は、尿道狭窄(2.0%)、肉眼的血尿(0.7%)、膀胱直腸瘻(0.2%)であった。
限局性前立腺がんに対する性機能温存の低侵襲治療として有用
これらの結果から、密封小線源療法は、限局性前立腺がんに対して性機能を温存しながら行える低侵襲治療として有用であることが確認された。
「今回の成果から前立腺がんに対する密封小線源療法の長期的に良好な成績と安全性が確認された。密封小線源療法は前立腺局所療法(フォーカルセラピー)として応用可能であり、今後はより低侵襲な治療選択肢として期待される」と、研究グループは述べている。
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