コーヒーが腎機能に与える影響、先行研究では一貫した結果が得られず
徳島大学は11月25日、大規模調査データを用いてコーヒー摂取と腎機能の関係を解析した結果を発表した。この研究は、同大大学院医歯薬学研究部医学域医科学部門メディカルAIデータサイエンス分野(旧予防医学分野)の渡邊毅助教および藤田医科大学医療科学部研究推進ユニット予防医科学分野の藤井亮輔講師らの研究グループによるもの。研究成果は、「European Journal of Nutrition」に掲載されている。

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コーヒーは世界中で広く飲まれている飲料であり、心血管疾患、がん、2型糖尿病などのリスクを下げうることがこれまでに報告されている。腎機能は高血圧や高血糖といった心血管代謝系のリスク因子と密接に関連しているため、コーヒーが腎機能に対しても保護的に働く可能性が考えられるが、これまでの研究では一貫した結果が得られていなかった。
コーヒー摂取行動に関連する遺伝的多型ごとに、コーヒーと腎機能の関係を検討
今回の研究では、J-MICC研究のデータを用いて、コーヒー摂取行動に関連する3つの遺伝的多型rs2074356(HECTD4)、rs762551(CYP1A2)、rs4410790(AHR)を考慮してコーヒーと腎機能の関係を検討した。35~69歳の日本人7,468人(男性3,515人、女性3,953人)を対象にして、遺伝的型ごとの集団(コーヒー摂取が多くなる遺伝子型、中程度になる遺伝子型、少なくなる遺伝子型)に分け、集団ごとに、年齢、性別などの交絡因子を調整し、慢性腎不全(CKD)をアウトカムとした多変量ロジスティック回帰分析を行った。
コーヒー摂取が多くなる遺伝子型の人はコーヒー摂取量「多」ほどCKD有病率「低」
解析の結果、コーヒー摂取が多くなる遺伝子型を持つ人(rs2074356(HECTD4)AA型)においてコーヒーの摂取量が多いほどCKDの有病率が低いという結果が得られた。また、rs762551(CYP1A2)、rs4410790(AHR)では、カフェイン代謝速度が中くらいの遺伝子型の人(ヘテロ型)においてコーヒー摂取とCKDの有病率の間に負の関連がみられた。
今後、カフェイン以外の成分・その他遺伝的多型など検討が必要
同研究結果から、コーヒーと腎機能の関係には、コーヒー摂取行動やカフェイン代謝に関連する遺伝的多型が影響することが示唆された。
今回の研究では、コーヒーに含まれるカフェイン以外の成分やその他の遺伝的多型について考慮できていないため、さらなる検討が必要である、と研究グループは述べている。
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・徳島大学 プレスリリース


