タバコの製品種別にLong COVIDとの関係を調べる研究は十分に行われていなかった
大阪公立大学は11月14日、コロナ後遺症と喫煙の関係をタバコ製品種別で調査し、その結果を発表した。この研究は、同大大学院医学研究科 呼吸器内科学の豊蔵恵里佳大学院生(博士課程4年)、山田一宏講師、浅井一久准教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Scientific Reports」にオンライン掲載されている。

画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)
新型コロナウイルス(COVID-19)の感染後に、長く体調不良が続く「Long COVID」が健康問題となっている。代表的な症状には、息苦しさ、疲労感、味覚や嗅覚の異常などがあり、多くの人の生活に影響を及ぼしている。そのリスク因子として高齢、女性、肥満、併存疾患などが報告されているが、喫煙との関連については一定の結論が得られていない。
従来の研究では、喫煙がCOVID-19急性期の重症化リスクを高めることは広く認められているが、Long COVIDに及ぼす影響については科学的知見が限られている。また、日本では加熱式たばこの使用が急速に拡大しており、世界の中でも際立った傾向を示しているが、タバコの種類ごとにLong COVIDとの関係を調べた研究はこれまで十分に行われていなかった。
全国2万8,250人を対象に、Long COVIDと喫煙形態の関連を調査
今回の研究では、全国規模のインターネット調査(JASTIS 2023)から2万8,250人(うち5,068人がCOVID-19既往者)を対象に、非喫煙、燃焼式タバコ、加熱式タバコ、両者併用に分類し、Long COVIDとの関連性について多変量ロジスティック回帰分析を行った。
最も症状が多かったのは燃焼・加熱式タバコ併用者、次いで燃焼式タバコ使用者
解析の結果、現在喫煙者では非喫煙者と比べて、4症状(関節痛、胸痛、呼吸困難、嗅覚障害)と有意な関連が認められた。併用者では5症状(関節痛、胸痛、呼吸困難、味覚障害、嗅覚障害)、燃焼式タバコ使用者では3症状(胸痛、呼吸困難、嗅覚障害)、加熱式タバコ使用者では2症状(呼吸困難、性機能障害)と、有意な関連が認められた。
燃焼・加熱式タバコ併用は、Long COVIDの症状を相乗的に悪化させる可能性も
Long COVIDの症状は喫煙の種類や習慣により異なった影響を受ける可能性があり、燃焼式タバコと加熱式タバコの併用では、Long COVIDの症状を相乗的に悪化させる可能性も示唆された。
「禁煙支援」の重要性を裏付ける結果に
今回の研究により、喫煙形態によってLong COVIDとの関連性が異なることが初めて明らかにされた。特に、燃焼式タバコと加熱式タバコの両方を併用している人では、より多くの症状との関連性が認められ、これらの結果は禁煙支援の重要性を裏付けるものである。
「今後は喫煙とLong COVIDの症状との因果関係や作用メカニズムを解明し、公衆衛生政策や臨床現場の対応に活かしていくことが期待される」と、研究グループは述べている。
▼関連リンク
・大阪公立大学 プレスリリース


