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夜型の不眠を、睡眠行動療法アプリ+ライトグラスを用いた光療法で改善-京大

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2024年10月02日 AM09:53

睡眠行動療法と、LEDライトグラスを用いた光療法を併用する介入プログラムを開発

京都大学は9月24日、夜型生活者の不眠を対象として、スマートフォンアプリを用いた時間生物学的な睡眠行動療法(デジタルBBTI)と、LEDライトグラスを用いた光療法(LT)を併用する介入プログラム「デジタルBBTI with LT」を開発し、夜型生活者の不眠に対する有効性を検証したと発表した。この研究は、同大学生総合支援機構の降籏隆二准教授、同大大学院医学研究科の石見拓教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Journal of Sleep Research」にオンライン掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

睡眠の問題は若年成人において重要な健康課題の一つ。個人の最適な就寝時刻・起床時刻はクロノタイプと呼ばれるが、思春期にはクロノタイプの夜型化が急速に進むことが知られている。夜型が強い場合は、個人のクロノタイプと、学校の登下校の時刻、会社の出勤・退勤時刻などの社会的時刻との乖離が大きくなるため、入眠困難、起床困難、日中の過剰な眠気、不安、抑うつなどを引き起こす原因となることがある。また、学業や就業に支障をきたしたり、精神的な不調を引き起こしたりする原因となることもある。

対応方法の一つとして、対面で行う時間生物学的な睡眠行動療法(BBTI)と光療法(LT)の併用の有効性が示されている。光療法については、近年、利便性の高いLEDライトグラスが開発されているが、時間生物学的な睡眠行動療法は専門家が不足しており、提供機会が限られている。

研究グループは今回、時間生物学的な睡眠行動療法を簡便に提供するためにスマートフォンアプリ「SleepHealthy-Eveningtype」を開発し、起床後にライトグラスを併用する介入プログラム「デジタルBBTI with LT」を開発。夜型生活者で不眠を持つ大学生を対象として、介入プログラムの有効性を検証した。

夜型生活者で不眠のある大学生28人を対象にプログラムの有効性を検証

研究では、朝型-夜型質問紙(MEQ)で「明らかな夜型」「ほぼ夜型」に該当し、不眠重症度質問票(ISI)が8点以上の不眠がある大学生28人(介入群[n=14]と対照群[n=14])を対象として、並行群間無作為化対照試験を行った。介入群にはスマートフォンアプリを用いて、時間生物学的な睡眠行動療法(デジタルBBTI)を提供した。介入群は2~4週目に、起床後に30分間LEDライトグラスを使用し光療法(LT)を行った。介入プログラムの期間は4週間。主要評価項目として不眠重症度質問票(ISI)を測定した。副次評価項目として、MEQ、RU-SATED等を測定した。主要評価項目の解析は線形混合モデルを用い、副次評価項目の解析は独立したサンプルのt-検定を用いた。

ISIの変化から「デジタルBBTI with LT」の有効性を統計学的に確認

組入時のISIの平均値は、介入群12.2点、対照群12.5点だったが、4週間後の平均値は介入群7.2点、対照群10.6点であり、ISIの変化の違いは統計学的に有意だった(P < 0.001)。副次評価項目では、MEQで評価したクロノタイプの朝型化(P = 0.008)、RU-SATEDで評価したスリープヘルスの改善(P = 0.005)がみられた。

これらの結果は、夜型生活者の不眠を対象とした臨床試験において、介入プログラム「デジタルBBTI with LT」の有効性を示している。

夜型生活者で不眠を持つ若年成人の睡眠問題の悪影響軽減に重要な役割を果たす可能性

スマートフォンアプリとライトグラスを併用する介入プログラム「デジタルBBTI with LT」は、夜型生活者で不眠を持つ若年成人の睡眠問題の悪影響を軽減するために重要な役割を果たす可能性がある。

「今後、より多数例を対象とした研究を行い、さらに検証を進める必要があると考える」と、研究グループは述べている。

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