医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医療 > 厳格LDL-C管理療法、糖尿病患者では冠動脈プラーク安定化作用減弱の可能性-国循ほか

厳格LDL-C管理療法、糖尿病患者では冠動脈プラーク安定化作用減弱の可能性-国循ほか

読了時間:約 3分4秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2022年04月25日 AM11:30

冠動脈疾患患者523例を後ろ向き解析、厳格なLDLコレステロール管理による冠動脈プラーク安定化効果を検証

国立循環器病研究センターは4月22日、欧州心臓病学会が推奨する厳格なLDLコレステロール管理療法(55mg/dL未満)は、非糖尿病患者のプラーク安定化に有効であるが、糖尿病患者においてはその効果が減弱している可能性があると発表した。この研究は、同大研究センター心臓血管内科の岩井雄大医員、片岡有医長、野口暉夫副院長、東北大学大学院医学系研究科循環器内科学分野の安田聡教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Journal of American College of Cardiology:Cardiovascular Imaging」オンライン版に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

2型糖尿病は、心筋梗塞などの心血管疾患発症リスクが高い疾患。心筋梗塞は、冠動脈のプラーク形成・進展・破綻により発症することから、その発症予防において冠動脈プラークを安定化させ心筋梗塞発症を回避することが重要だ。研究グループは、先行研究により、LDLコレステロール管理療法は心筋梗塞の原因となる不安定プラークを安定化させ心筋梗塞発症予防に有効であることをすでに報告。日本ならびに海外のガイドラインでも、心血管疾患発症予防においてLDLコレステロール低下療法が推奨されており、その重要性が高まっている。

近年、欧州心臓病学会は、心血管疾患発症既往を有する2型糖尿病患者では、従来のLDLコレステロール低下目標値(70mg/dL未満)よりもさらに厳格な値(55mg/dL未満)を目標として管理することを推奨している。しかし、このような強力なLDLコレステロール管理療法によるプラーク安定化効果については十分に検証されていなかった。そのため、今回の研究は冠動脈疾患をすでに発症した非糖尿病・糖尿病患者における、厳格なLDLコレステロール管理による冠動脈プラーク安定化効果を検証した。

今回の研究では、国立循環器病研究センターならびに宮崎市郡医師会病院に入院した冠動脈疾患患者523例(非糖尿病症例277例、糖尿病症例246例)を後ろ向きに解析。冠動脈プラーク内の組織成分を描出し、プラーク不安定に関与する脂質・石灰化成分の同定に有効な近赤外線スペクトロスコピー・血管内超音波法を用いて、厳格なLDLコレステロール管理下におけるプラークの特徴を解析した。

糖尿病患者、心筋梗塞発症の素地となる不安定プラークが存在

研究の結果、非糖尿病症例の6.4%において、LDLコレステロール55mg/dL未満を達成。このような厳格なLDLコレステロール管理下にある非糖尿病症例では、冠動脈プラークの脂質成分が少なく石灰化を認め、LDLコレステロールの厳格な管理が冠動脈プラーク安定化において有効である可能性が示唆された。

一方、2型糖尿病患者では、13.0%の症例がLDLコレステロール55mg/dL未満を達成。非糖尿病患者とは異なり、糖尿病患者における冠動脈プラークは、厳格なLDLコレステロール管理下でも、脂質成分が豊富に存在し石灰化も軽度だった。

今回の研究から、LDLコレステロール55mg/dL未満を目標とした治療は、非糖尿病症例のプラーク安定化において有効な可能性があるが、糖尿病患者ではその効果が減弱している可能性があり、厳格なLDLコレステロール管理下でも心筋梗塞発症の素地となる不安定プラークが存在することが示された。

、LDLコレステロールだけでなく、他のリスクファクターへの介入も必要な可能性

今回の研究では、糖尿病患者において、LDLコレステロールの強力な管理下でも心筋梗塞の原因となる不安定プラークは依然として存在していた。糖尿病は、脂質異常症の他に肥満・高血圧などの動脈硬化を惹起させる危険因子が集簇している病態だ。特に、、低HDLコレステロール血症や炎症・酸化ストレスの亢進も伴っており、LDLコレステロールの介入のみでは、十分なプラーク安定化効果を得ることが困難だった可能性が推察される。

同研究成果から、2型糖尿病症例においてはLDLコレステロールだけでなく、他のリスクファクターへの介入も必要である可能性が示唆される。近年、2型糖尿病症例に特徴的な高中性脂肪血症が残余リスクとして着目されている。すでに、今回の責任著者が、高中性脂肪血症は冠動脈プラーク進展・不安定化に寄与することを報告している。これらの研究成果から、高中性脂肪血症に対する介入治療は糖尿病症例のプラーク進展・不安定化予防に有効である可能性も期待される。

また、研究グループは、中性脂肪低下療法によるプラーク安定化効果を検証する特定臨床研究を立案し、2021年6月より国立循環器病研究センター心臓血管内科が中心となり国内42施設と共同で研究を実施している(PEMA-CORE研究)。今後、2型糖尿病症例に対する有効な予防治療確立を目指し研究を進めていく予定だとしている。

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 医療

  • 平均身長の男女差、軟骨の成長遺伝子発現量の違いが関連-成育医療センターほか
  • 授乳婦のリバーロキサバン内服は、安全性が高いと判明-京大
  • 薬疹の発生、HLAを介したケラチノサイトでの小胞体ストレスが原因と判明-千葉大
  • 「心血管疾患」患者のいる家族は、うつ病リスクが増加する可能性-京大ほか
  • 早期大腸がん、発がん予測につながる免疫寛容の仕組みを同定-九大ほか