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画期的な脊椎固定用デバイス「UNIOS PLスペーサー」開発、保険収載-帝人ナカシマメディカルほか

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2021年06月02日 PM12:00

自家骨の充填などの処置なしでも骨癒合が期待される

帝人ナカシマメディカル株式会社は6月1日、脊椎疾患の治療に用いる新たな脊椎固定用デバイス「UNIOS(ユニオス)PLスペーサー」を開発し、医療機器としての製造販売承認取得(2021年4月9日)を経て、6月1日付けで保険収載されたことを発表した。この開発は、同社と東京医科歯科大学、、北海道医療センターとの産学連携プロジェクトによるものだ。


画像はリリースより

一般的な脊椎ケージは十分な骨癒合を得るために、自家骨を製品の空洞部分に充填する必要がある。そのため、自家骨の採取による痛みや医師の負担の軽減に向けて、自家骨の充填なく、十分な骨癒合が得られる製品の開発が望まれていた。

開発されたデバイスは、椎間板ヘルニアや脊椎すべり症などの脊椎疾患の治療に用いる脊椎ケージ。カゴのような形状をしており、手術によって除去された椎間板の代替として椎体間の高さを保持するとともに、椎体骨と癒合して固定されることで、背骨の矯正や修復を行う。

椎体骨とのより良い癒合と早期の固定を得るため、椎体骨との接触面に3Dプリンタによる金属加工技術(三次元金属積層造形法)を用いた特殊な微細構造をデザインしているのが特徴。これにより、デバイスの表面および内部での骨形成と同時に骨配向化が誘導されるため、自家骨を粉砕してケージ内に充填するなどの処置を行わずに優れた骨癒合を得ることが期待される。

微細構造は骨配向化の誘導を実現する三次元構造として設計

今回の開発は、(AMED)の「S‐イノベ」による支援のもと、東京医科歯科大学生体材料工学研究所の塙隆夫教授がプロジェクトマネージャーとなり、産学連携で新合金の開発、機能表面の創成、新たな製造プロセスの確立など、素材の開発からデバイス製造に至るまでの一貫した研究開発が行われた。

最大の特徴である微細構造は、大阪大学大学院工学研究科の中野貴由教授が提唱する「骨組織の配向性に着目した骨質評価指標(骨健全性指標)」に基づき、骨配向化の誘導を実現する三次元構造として設計された。また、北海道医療センターの伊東学統括診療部長による臨床学的知見に基づくアドバイスのもと、動物実験を含む非臨床試験による有効性評価データの蓄積やデザインの改良を積み重ね、「UNIOS PLスペーサー」の製品化に至ったという。

7月以降に発売予定

デバイスの発売は7月以降を予定しており、同社が製品の製造および販売を行う。「今後はこのたび確立した技術について、AMEDおよび本プロジェクトに参画した各機関の協力のもと、他の脊椎デバイスへの水平展開や人工関節製品への応用を積極的に検討していく」としている。

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