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インフルエンザウイルスの複製抑制する新規阻害剤の第2相試験結果を公表-塩野義

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2016年08月31日 PM12:30

新規の作用機序を持つキャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害剤S-033188

塩野義製薬株式会社は8月29日、米国イリノイ州シカゴで開催されたインフルエンザ感染症の予防、コントロール、治療に特化した国際学会「OPTIONS IX」において、塩野義製薬が創製したキャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害剤S-033188の国内第2相臨床試験ならびに非臨床試験で得られた結果を公表したと発表した。


画像はリリースより

インフルエンザウイルス感染症では、毎年、世界の発症患者のうち3~5百万人が重症化し、25~50万人が死亡しているといわれている。また、新型インフルエンザの発生、世界規模での大流行に対しては、深刻な被害が懸念されており、高い治療効果ならびに感染拡大予防効果のある新薬の創製が待ち望まれている。

S-033188のキャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害作用は、インフルエンザウイルスの複製を抑制する新規作用メカニズムで、単回の経口投与で、既存のノイラミニダーゼ阻害薬を上回る優れた効果を示すこと、また、既存薬に対する耐性ウイルスや高病原性鳥インフルエンザウイルスによる感染に対しても効果を示すことが期待されている。

2016年度中にグローバル3相臨床試験開始、2017年度内に申請予定

今回公表された報告によると、国内第2相臨床試験では、A型ならびにB型インフルエンザウイルス感染患者400例を対象に、プラセボおよびS-033188(10mg、20mgおよび40mg単回経口投与、各群100例)を投与し、インフルエンザ症状消失期間ならびにウイルス力価の推移を確認した。

S-033188の投与によるインフルエンザ症状消失期間の短縮はCox比例ハザードモデルを用いた検討ではプラセボに対する有意差を認めなかったが、generalized Wilcoxon検定では3用量ともに有意な短縮を認めた(p<0.05)。また、プラセボ投与群と比較して、投与翌日ならびに2日後のウイルス力価をいずれの用量においても有意に減少させた(p<0.001)。忍容性はプラセボと同様だったとしている。

また、オセルタミビル耐性株を含むA型およびB型インフルエンザウイルスを感染させた培養細胞を用いた非臨床試験では、S-033188は上市されている既存の治療薬と比べ、強いウイルス複製阻害作用を示した。致死量のA型インフルエンザウイルスを感染させたマウスに同剤(0.5および5mg/kg)を単日投与したところ、全例が生存し、臨床用量相当のオセルタミビルの5日間投与群と比べて有意に高い致死抑制効果を示したとしている。

なお、このS-033188は、2015年10月に厚生労働省より先駆け審査指定制度の対象品目に指定されている。同社は、2016年度中にグローバル3相臨床試験を開始し、日本では最速で2017年度内の申請を予定。また、日本と台湾を除く全世界における開発はスイスのF. Hoffmann-La Roche Ltd.との提携下で進めていくとしている。

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