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新規抗がん剤の局在解析に関する共同研究契約を国がんとの間で締結-AZ

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2015年11月18日 PM01:45

新規抗がん剤の腫瘍組織分布を解析するMSI技法の開発が目的

アストラゼネカ株式会社は11月16日、国立がん研究センターが開発中の質量分析イメージング法(Mass Spectrometry Imaging:以下、MSI)を用いて、同社の新規抗がん剤の腫瘍組織への局在を解析する非臨床共同研究契約を9月10日に締結したと発表した。

両者はこれまで新規抗がん剤に関する臨床開発と非臨床研究の推進を目的とする包括共同研究契約をそれぞれ2011年、2012年に締結し、数多くの臨床並びに非臨床共同研究を実施してきた。

MSIは、腫瘍組織で起こる抗がん剤の複雑な相互作用を、放射性同位体を使用せずに直接分析できる技術。共同研究の目的は、坦がん動物モデルを用いて、新規抗がん剤の腫瘍組織分布を解析するMSI技法を開発・確立することで、坦がん動物モデルにおいて採取された腫瘍組織への抗がん剤分布の解析結果と治療効果を比べて、人を対象とする臨床試験の生体腫瘍組織検査に応用し、抗がん剤の腫瘍組織分布を解析・評価する“橋渡し研究”(Translational study)としてMSIの応用を計画している。

最適な投与量の決定で臨床試験の時間短縮へつながる可能性も

国がんで開発中のMSIは、同先端医療開発センター臨床薬理トランスレーショナルリサーチ分野分野長の濱田哲暢氏主導により、創薬研究への応用が検討されており、その空間解像能により世界をリードする高度先駆的医療技術として注目されている。

今回の共同研究の成果は、今後、新規抗がん剤を用いた早期臨床試験(第1相臨床試験)において、生体組織検査により腫瘍組織中の薬物分布濃度と効果との関連を評価し、投与量の設定、作用の評価に役立てていくという。

同技術を用いて最適な投与量を速やかに決定することにより、臨床試験の時間の短縮も可能にすると期待されている。また、がん治療分野だけでなく、生体組織検査を行う他の治療分野における同剤の組織中の薬物分布濃度と効果との関連を評価することにも応用できる可能性があるという。

アストラゼネカは、今回の契約締結により、日本における臨床開発を世界水準にまで引き上げ、腫瘍を的確に標的とする医薬品の開発へ向けて前進していきたいとしている。

 

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