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自己炎症性疾患の原因となるインフラマソーム活性の新規制御機構を発見-東京医歯大ら

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2017年12月06日 PM01:30

自然免疫で異物認識・免疫応答の中心的な役割を果たすインフラマソーム

東京医科歯科大学は12月4日、グロムリン(GLMN)とcellular inhibitor of apoptosis protein 1、および2(cIAP1、cIAP2)が、細菌感染等の刺激により引き起こされるインフラマソーム活性をコントロールする分子機構を明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院医歯学総合研究科細菌感染制御学分野の鈴木敏彦教授と鈴木志穂助教、千葉大学真菌医学研究センターの笹川千尋センター長を中心とする研究グループが、東京大学医科学研究所、、大阪大学微生物病研究所と共同で行ったもの。研究成果は「EMBO Reports」に掲載されている。

インフラマソームは、自然免疫においてTLRとともに異物認識および免疫応答に中心的な役割を果している。特にインフラマソームの不必要・持続的な活性化は種々の自己炎症性疾患の原因として広く知られているが、その不必要な過活性化をコントロールしている仕組みは十分解明されていない。これまでの研究グループは、インフラマソームの活性化に影響する分子としてGLMNを特定していたが、GLMNとインフラマソーム構成タンパク質群との間に直接的な相互作用が認められず、活性制御に関わる詳細な分子メカニズムはわかっていなかった。

GLMNがインフラマソームの負の制御因子として機能

今回、研究グループは、cIAPs-siRNAノックダウン解析およびCRISPR-Cas9システムにより作出したcIAPs-KOマクロファージの解析を実施。その結果、インフラマソームの活性化にcIAP1とcIAP2の発現が重要であることが明らかになったという。マクロファージ内では、GLMNとcIAPが共局在しており、さらにGST-pulldown法によりGLMNがcIAP1とcIAP2のRING domainに特異的に結合することが判明。また、cIAPs-GLMN間相互作用には、cIAPs RING domainに位置するセリン残基が重要であることを特定し、GLMNが結合することでcIAPの自己ユビキチン化を阻害して、cIAPがもつE3 ubiquitin ligase活性を抑制していることを見出したとしている。さらにGLMN-siRNAノックダウン解析の結果、GLMNがインフラマソームの負の制御因子として機能することを明らかにしたという。

インフラマソームの慢性的な活性化は、潰瘍性大腸炎・クローン病などの炎症性腸疾患や痛風を引き起こす原因となる。これらの自己炎症性疾患に有効な治療法を見出すために、インフラマソーム活性を効率的にコントロールする方法および分子標的の探索が重要であり、今回の研究成果が自己炎症性疾患に対する新規治療法につながることが期待される、と研究グループは述べている。

 

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