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【PMDA検討会】小学5年生レベルの内容に-患者向医薬品ガイドで提言

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2025年02月07日 AM10:08

)の患者向医薬品ガイド検討会が1月30日に開かれ、有識者ヒアリングで、ガイドを「必須版」と「詳細版」に分けることなどを求める提言が示された。委員からは、欧米など海外におけるガイドの記載内容と同様、「小学校5年生程度」のリテラシーレベルでも理解できる書きぶりにするよう求める声が相次いだ。

この日の検討会では、熊本大学大学院生命科学研究部(薬学系)の山本美智子客員教授が代表者を務めた日本医療研究開発機構(AMED)研究事業の結果を説明した。

患者自身が必要と考える医薬品情報に関する調査では、「副作用に関する情報」が国内外問わず上位を占め、実際に米国や欧州など諸外国における患者向け公的医薬品情報では、副作用について平易な言葉で説明している。ガイド全体のリテラシーレベルも日本では高校生程度とする一方、「小学校5年生程度」で理解できるものがほとんどで、患者の意思決定サポートを主目的としている。

研究結果を踏まえた提言として、現行ガイドを「必須版」と「詳細版」の2部構成に分けるべきとし、詳細版では目次等を付けてナビゲーションの改善が必要とした。副作用に関する情報は大きくカテゴリー分類し、各カテゴリーで自覚症状を記載するほか、日本語としての難易度も確認するよう求めた。

山本氏は「患者にとって医療用語は難しく、漢字が四から五つ連続する疾患名や副作用名に拒絶反応を示す。広範な理解を求める情報作りが必要なので、理解を深めたい人は詳細版、そうでない場合は必須版に分けてはどうか」と提案した。

その上で、ガイドの提供方法として、既存のPMDAサイトは医療者向けが前提と指摘。患者・消費者専用サイトの創設を求め、ガイド専用の検索システムを設置すべきとした。

花井十伍委員(ネットワーク医療と人権理事長)は、「小学生向けの講演を行うと保護者も共感してくれることが多く、一般的には小学校5年生程度が良いのではないか」と賛同した。

藤原慶正委員(日本医師会常任理事)も、「大人になってからの生活習慣改善は難しく、リテラシーも子供から入っていかないと醸成が困難。認知機能が低下してきている高齢者も考慮すると、小学校5年生程度のレベルは大事」と述べた。

一方、研究ではガイドの提供側である製薬企業の担当者85人を対象とした認識調査も行っており、「患者がガイドの内容を十分に理解している」との回答は3.5%、「患者がガイドを活用している」は1.2%にとどまった。

藤原氏は「どれも割合が低くてガイドが役立っているか分からず、ガイド作成に意味を感じていないのではないか。きちんと共有されることで資材として自立し、広く利用される」と課題を指摘した。

 

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