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皮膚へのビタミンC塗布は紫外線を浴びる前がより効果的−都長寿研

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2018年11月08日 AM11:30

皮膚でビタミンCが欠乏するとメラニン色素の産生が増加

東京都健康長寿医療センターは11月6日、皮膚へのビタミンC塗布は紫外線を浴びる前が効果的であることを明らかにしたと発表した。この研究は、同センターの石神昭人研究部長、船越智子技術員、河島早紀連携大学院生らが、北陸大学の佐藤安訓講師、東邦大学の永田喜三郎教授、東京医科歯科大学の吉田雅幸教授、株式会社リソウと共同で行ったもの。研究成果は「Scientific Reports」に掲載されている。


画像はリリースより

紫外線B波(UVB、280-320nm)は、皮膚の表皮層に吸収され、炎症や細胞死の原因となる活性酸素種を産生する。皮膚へのビタミンC塗布は、この活性酸素種を消去すると考えられていたが、詳細な機構は明らかになっていなかった。

皮膚でのビタミンCの役割に関して、研究グループは以前に皮膚でビタミンCが欠乏すると表皮が薄くなり、紫外線によるメラニン色素の産生が増加することを報告してきた。ビタミンCは、表皮の構造を維持する上で重要な役割を果たしているが、紫外線による皮膚でのビタミンCの防御機構はよくわかっていなかった。

紫外線照射前のビタミンC添加で細胞障害が抑制

研究グループは、ヒト培養表皮を用いてビタミンCが紫外線による細胞障害に対して抑制効果があるかを詳細に調査。紫外線を照射する前または後の3時間、ビタミンCを表皮表面に添加し、紫外線照射24時間後の細胞生存率、アポトーシス頻度、DNA損傷や酸化ストレス、炎症に関わる遺伝子発現の程度を評価した。その結果、紫外線照射の前または後にビタミンCを表皮表面に添加すると、表皮にビタミンCが取り込まれ、紫外線照射による細胞障害が抑制された。また、その効果は紫外線照射の前にビタミンCを添加した方が後にビタミンCを添加するよりもより効果的だったという。

今回の研究により、ビタミンCは紫外線により産生される活性酸素を消去することにより、細胞障害を抑制することが初めて明らかとなった。研究グループは、「皮膚への効果を期待して、ビタミンCは医薬品や化粧品に多く用いられている。この研究成果は、皮膚でのビタミンCの機能解明に大きく貢献するものと期待される」と述べている。

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