医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医薬品・医療機器 > 4価デング熱ワクチン「TAK-003」、P3試験18か月解析結果とP2試験最終解析結果がLancet誌に掲載-武田薬品

4価デング熱ワクチン「TAK-003」、P3試験18か月解析結果とP2試験最終解析結果がLancet誌に掲載-武田薬品

読了時間:約 4分17秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2020年03月19日 AM11:15

これまでの安全性、免疫原性および有効性データと一貫性のある結果

武田薬品工業株式会社は3月18日、4価デング熱ワクチン「」について、現在進行中の臨床第3相試験であるTIDES試験(Tetravalent Immunization against Dengue Efficacy Study)の18か月の解析結果と、臨床第2相試験であるDEN-204試験の48か月の最終解析結果についての2つの論文がLancet誌に掲載されたと発表した。以前報告された、TAK-003の安全性、免疫原性および有効性データと一貫性のあるものだったとしている。

TAK-003は、4種のワクチンウイルス型すべての遺伝子型の”バックボーン”として弱毒化された生の2型デングウイルスをベースに構築されている。小児・若年被験者を対象とした臨床第1相試験および臨床第2相試験において、同ワクチン接種前の血清反応が陽性および陰性の被験者双方とも、TAK-003は4種すべての血清型に対して免疫応答を誘導し、一般的に安全で良好な忍容性を示している。なお、TAK-003は現時点で世界中のいずれの国や地域においても製造販売承認を受けていない。

P3試験、4~16歳におけるウイルス学的に確認されたVCDに対する予防効果を示す

臨床第3相TIDES試験()は、二重盲検、無作為化、プラセボ対照のグローバル臨床第3相試験。小児・若年層被験者を対象とし、4種すべての血清型によって引き起こされる、ウイルス検査レベルで感染が確認されたあらゆる重症度の症候性デング熱の予防において、TAK-003を2回接種した際の安全性および有効性を評価している。デング熱流行地域に居住する4~16歳の2万人以上の健常な小児・若年層被験者が組み入れられている。同試験の被験者は、試験開始1日目および90日目にTAK-003 0.5mLもしくはプラセボを皮下投与にて接種する群のいずれかに無作為に割り付けられた。同試験は3つのパートで構成されており、主要評価項目の解析(パート1)では初回接種後15か月までのTAK-003の有効性および安全性を評価(接種2回目以後12か月間追跡)。パート2では、さらに観察期間を6か月間追加し、血清型、ワクチン接種前の血清反応および重症度による有効性の副次評価項目の評価を行う。パート3ではパート2完了後の被験者に対しさらにその後3年間の有効性と長期的な安全性を追跡評価する。

TAK-003の初回接種3か月後に2回目を接種した後、18か月の追跡期間で得られた臨床第3相試験TIDES試験の18か月データの解析には、ワクチン有効率(VE)に関する最新情報と、デングウイルスの血清型別、ワクチン接種前の血清反応(デングウイルス感染歴の有無)別および重症度別の有効性に関する副次評価項目の解析結果が含まれており、4~16歳の小児・若年層におけるウイルス学的に確認されたデング熱感染(VCD)に対する予防効果が示された(VE:73.3%(95%信頼区間:66.5%~78.8%))。TIDES試験は、解析に十分な発症例数を収集できた項目において、全ての副次評価項目を満たしたという。TAK-003の忍容性はおおむね良好であり、本解析で重大な安全性の懸念は認められなかった。この解析結果は、2019年11月に開催された米国熱帯医学会(American Society of Tropical Medicine and Hygiene:ASTMH)第68回年次学術集会で発表されている。18か月データのVEおよび安全性の解析結果は、以前論文として掲載された12か月データの解析結果とおおむね一貫性があるものだった。

なお、TIDES試験は継続進行中であり、引き続きトータル4.5年間にわたり安全性および有効性を検討する。同社は、TIDES試験の24か月データの解析結果を2020年中に発表する予定だとしている。

P2試験期間の4年間、ワクチン接種群ではVCDリスクが有意に低く

臨床第2相DEN-204試験は、デング熱流行地域(ドミニカ共和国、パナマおよびフィリピン)に居住する1,794名の健康な被験者を対象に、TAK-003の単回または2回接種の安全性および免疫原性を評価する無作為化、二重盲検、プラセボ対照多施設共同試験であり、2019年に試験が終了。2~17歳の被験者は4つのグループのいずれかに無作為化され、中間解析が行われたワクチン接種後6か月の時点では、2つのグループで単回接種、1つのグループで3か月間隔で2回接種、1つのグループでプラセボが接種された。

同中間解析における主要評価項目は、試験実施計画書に適合した対象集団(PPS)における4種のデングウイルス血清型(DENV-1-4)に対する中和抗体の幾何平均抗体価(GMTs: geometric mean titers、免疫応答の指標)。試験実施計画書からの重大な逸脱がなく、ワクチン接種前およびワクチン接種後1、3、6か月時点での評価可能な血液データおよび免疫原性データを有する被験者グループをPPSとして定義した。副次評価項目には、重篤な有害事象の発現、安全性集団(少なくともTAK-003またはプラセボを1回接種した被験者集団)におけるウイルス学的に確認されたデング熱感染、血清陽性率(抗体を発現した被験者の割合)および免疫原性部分集団における非自発的および自発的な有害事象の発現が含まれている。

DEN-204試験には1,800例が組み入れられ、同試験の48か月データの解析では、TAK-003は2~17歳までの小児・若年層において、ワクチン接種前の血清反応(デングウイルス感染歴の有無)に関わらず、4種すべてのデングウイルス血清型に対する抗体反応を誘発し、ワクチン接種後4年間持続することが示された。同試験では、3つの異なる接種スケジュール(単回接種、1年間隔で2回接種、3か月間隔で2回接種)、およびプラセボを評価。接種前の血清反応が陽性の被験者では、免疫応答の指標である幾何平均抗体価(GMTs)において、接種48か月目までに異なる接種スケジュール間で明確な差は見られなかった。接種前に血清反応が陰性の被験者では、単回接種の被験者においてGMTsが3か月間隔で2回接種群または1年間隔で2回接種群のいずれと比較しても全般的に4種すべての血清型に対して低かったことから、進行中のTIDES試験で選択された接種スケジュール(3か月間隔で2回接種)の妥当性がさらに裏付けられたとしている。

4年の試験期間を通じて重大な安全性の懸念は確認されず、TAK-003の長期安全性プロファイルへの知見が得られた。同試験ではVEは評価されなかったが、4年の試験期間中、ワクチン接種群ではプラセボ群と比較してVCDのリスクが有意に低いことが示された(相対リスク:0.35、95%信頼区間:0.19-0.65)。以前発表された、DEN-204試験の中間解析の結果では、接種後6か月および18か月の忍容性および安全性の評価とともに、免疫原性の持続性が示されたとしている。

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 医薬品・医療機器

  • アレセンサ、ALK陽性早期非小細胞肺がん初の術後補助療法でFDA承認-中外
  • 全身型重症筋無力症治療薬ヒフデュラ配合皮下注を発売-アルジェニクス
  • バビースモ、網膜色素線条P3試験で主要評価項目達成-中外
  • 婦人科疾患の診断や不妊治療に有用な免疫検査パネルを発売-シスメックスほか
  • 新型コロナの次世代 mRNA ワクチン「コスタイベ筋注用」、国内第Ⅲ相試験で既存オミクロン株対応2価ワクチンに対する優越性検証を達成-Meiji Seika ファルマ