20歳以上の3人に1人が脂質を取りすぎている
東海大学は7月2日、ローヤルゼリー(RJ)が肥満および睡眠の質を改善することを食餌性肥満モデルで確認したと発表した。この研究は、同大生物学部生物学科の寺尾晶教授らの研究グループと、株式会社山田養蜂場の共同研究によるもの。研究成果は、「Experimental Animals」に掲載されている。

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現代の食生活は、和食から洋食へのシフトや加工食品、外食の増加により、高脂肪食の摂取が増加している。高脂肪食は、肥満や循環器疾患などの健康リスクを高めることから、注意が必要である。しかし、令和5年「国民健康・栄養調査の結果」(厚生労働省)によると、20歳以上の男女ともに3人に1人以上が「日本人の食事摂取基準(2025年版)」(厚生労働省)で定められた基準値を上回る脂質を摂取している。
睡眠の断片化は肥満の原因となりうる
また、肥満と密接な関係にある睡眠について、令和5年「国民健康・栄養調査の結果」によると、日本人の4人に1人が睡眠の質を十分に確保できていないと感じており、睡眠時間の不足や質の低下が現代社会の課題となっている。
睡眠の質を評価する指標である睡眠休養感は、睡眠時間の不足だけでなく、睡眠状況や生活習慣病などの影響を受ける。安定した睡眠とは、ノンレム睡眠とレム睡眠の持続時間が長い状態を指すが、中途覚醒によって睡眠の安定性が乱れると、ノンレム睡眠とレム睡眠の持続時間が短縮し、回数が増加することで、睡眠が断片化する。
睡眠の断片化は、肥満によって引き起こされるだけでなく、肥満そのものを発症させる危険因子であることが提唱されている。したがって、睡眠の質を向上し、肥満を抑制するためには、睡眠の断片化の改善が重要であると考えられる。
肥満・睡眠の質に対するRJの効果を肥満モデルマウスで検証
そこで今回の研究では、現代型の食生活において、RJが肥満と睡眠の質にどのような影響を与えるかを評価した。RJは、2型糖尿病患者の体重を減少させることが報告されていることから、高脂肪食による肥満と睡眠の断片化に対するRJの改善作用を食餌性肥満モデルで検討した。
実験では、若齢マウスを4群に分け、通常食、通常食+RJ(5%)、高脂肪食、高脂肪食+RJ(5%)をそれぞれ20週間給餌した。食餌量、体重・体脂肪(16週間まで)、睡眠パターン(24時間におけるノンレム睡眠、レム睡眠、覚醒状態の持続時間および回数)を評価した。
RJの肥満抑制効果、褐色脂肪組織での熱産生亢進を示唆
高脂肪食群では、体重や白色脂肪組織が増加して肥満となったが、高脂肪食+RJ群ではそれらの増加が抑制された。また、高脂肪食+RJ群でのみ、褐色脂肪組織中の熱産生を誘導するタンパク質(UCP1)の遺伝子発現量が通常食群より高かった。各群で食餌量や運動量に差がなかったことから、RJは褐色脂肪組織による熱産生を促進させることで白色脂肪組織の増加を抑制し、高脂肪食による体重増加を抑制した可能性が示された。
高脂肪食による睡眠の断片化、RJが改善
高脂肪食群は、通常食群と比べてノンレム睡眠と覚醒の持続時間が短縮し、回数が増えたことから、睡眠の断片化が認められた。一方、高脂肪食+RJ群では、睡眠の断片化が抑制され、睡眠の質が改善した。
肥満や睡眠不足による健康リスクの予防に期待
今回の研究により、RJは高脂肪食による肥満や睡眠の質の低下を改善する可能性が示された。これにより、現代の食生活による肥満や睡眠不足がもたらす健康リスクへの対策につながることが期待される。
「RJ、プロポリス、蜂の子などのミツバチ産品に関する有用性研究や素材開発を通し、予防医学の観点から「アピセラピー」を追究することで健康寿命を延伸し、社会に貢献していく」と、研究グループは述べている。
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