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アムヴトラ、トランスサイレチン型心アミロイドーシスで適応追加承認-アルナイラム

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2025年07月01日 AM09:00

トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー治療薬として15か国以上で販売中

Japan株式会社は6月24日、「アムヴトラ(R)」(一般名:ブトリシランナトリウム)についてトランスサイレチン型心アミロイドーシス(ATTR-CM)を対象とした治療薬として医薬品製造販売承認事項一部変更の承認を取得したと発表した。研究成果は、「The New England Journal of Medicine」に掲載されている。

アムヴトラは、標的となる特定のメッセンジャーRNA(mRNA)を分解し、野生型及び変異型TTRタンパク質が作られる前にその産生を阻害するように設計されたRNAi治療薬である。同剤は、3か月に1回の皮下注射により投与され、トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーの治療薬として15か国以上で承認・販売されている。

ATTRは、ミスフォールドされたトランスサイレチン(TTR)タンパク質が原因で、神経、心臓、胃腸などの体のさまざまな部位にアミロイド沈着物として蓄積する疾患。診断が難しく、急速に進行し、身体的に衰弱させ、死に至ることも多い疾患である。患者は、多発性神経症、心筋症、または両方の病状を示すことがある。ATTRには2つの異なる形態がある。遺伝性ATTR(hATTR)は、TTR遺伝子変異によって引き起こされ、患者数は全世界で約5万人いるとされる。一方、野生型ATTR(wtATTR)は、TTR遺伝子変異なしに発生し、推定患者数は全世界中で20万人~30万人におよぶ。

死亡・再発性心血管関連イベントリスクを有意に減少

今回の適応追加は、第3相HELIOS-B試験の結果に基づき、2024年11月に申請された。同試験は、ATTR-CM(変異型及び野生型)と診断された成人患者655人を対象にした、第3相、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、多施設共同の国際共同試験。全死因死亡および再発性心血管関連イベントの主要複合評価項目の減少というアムヴトラの有効性及び安全性を評価。アムヴトラは、主要評価項目及びすべての副次評価項目を達成し、死亡及び再発性心血管関連イベントのリスクの統計学的に有意な減少と許容可能な安全性及び忍容性プロファイルを実証した。

同試験において、アムヴトラ投与群はプラセボ投与群に比べて死亡及び再発性心血管関連イベントのリスクを統計学的に有意に減少させた。全体集団において、アムヴトラは全死因死亡及び再発性心血管関連イベントのリスクを28%減少させ、主要評価項目の構成要素である全死因死亡のリスクと再発性心血管関連イベントにおいて同様の減少を示した。この集団における全死因死亡のリスクは、二重盲検期間中に31%、42か月までに36%と有意に減少した。単剤投与部分集団において、アムヴトラは全死因死亡及び再発性心血管関連イベントのリスクを33%有意に減少させ、42か月までの死亡リスクを35%有意に減少させた。アムヴトラ投与群は、6分間歩行試験、カンザスシティ心筋症質問票、NYHA分類、心臓バイオマーカーNT-proBNPなど、複数の確立された疾患進行の臨床的指標においても、プラセボ投与群と比較して効果を示した。

また、アムヴトラは、確立された薬剤のプロファイルと一致する許容可能な安全性及び忍容性プロファイルを示した。有害事象、重篤な有害事象、重度な有害事象、及び治験薬の投与中止に至った有害事象の発現頻度は、アムヴトラ投与群とプラセボ投与群で同程度であった。プラセボ投与群と比較すると、アムヴトラ投与群では心臓関連の有害事象の発現頻度が同程度、またはそれより低い数値であった。全患者の15%以上に発生した有害事象(心不全、COVID-19、心房細動、痛風、呼吸困難、転倒)の発現頻度は、プラセボ投与群と比較するとアムヴトラ投与群では同程度、または低い数値であった。プラセボ投与群と比較して、アムヴトラ投与群で3%以上発現頻度の高い有害事象は認められなかった。

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