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ついに「年1回」製剤が登場、骨粗しょう症治療の最新知見は-旭化成ファーマ

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2017年02月21日 PM02:00

大腿骨近位部骨折患者では5年生存率50%という報告も

年1回投与のビスホスホネート製剤である、骨粗しょう症治療薬「リクラスト(R)点滴静注液5mg」(一般名:ゾレドロン酸水和物)が、2016年11月に発売された。非椎体骨折の評価でもプラセボに比べ有意な抑制効果を示したとして、骨粗しょう症治療の新たな選択肢として注目を集めている。同剤の製造販売元である旭化成ファーマ株式会社は2月15日、都内でメディアフォーラムを開催。東京慈恵会医科大学整形外科学講座の斎藤充准教授が、「いつから始める?いつまで続ける?骨粗しょう症治療」と題して講演した。


整形外科学講座
准教授 斎藤充氏

骨粗しょう症では、椎体の圧迫骨折といった患者の自覚に乏しい骨折を機に、大腿骨頸部骨折、対側の大腿骨近位部骨折と、骨折が連鎖して患者のQOLを低下させ、ひいては生命予後の悪化を招く。脊椎骨折患者の5年生存率は70%、大腿骨近位部骨折患者では5年生存率が50%という報告もあり、骨折は悪性腫瘍に匹敵する死亡リスクだ。海外の検討では、リクラストによる骨粗しょう症治療により、骨折防止効果だけでなく死亡リスクの低減が認められていることからも、治療の重要性は明らか。骨密度は加齢に伴い減少するため、20歳時に比べ3~4cm以上の身長低下があり背中が曲がっているような高齢者には、本人に自覚症状がなくても骨粗しょう症を疑い、骨折の連鎖に陥る前に治療を開始することが大切だという。

また、骨密度の低下には性ホルモンの減少が関与するため、月経不順があった女性や、乳がんや前立腺がんで性ホルモン抑制療法を行っている患者は、骨粗しょう症を発症しやすく注意が必要だ。

糖尿病などの生活習慣病では、骨密度が高くても骨折リスク

骨粗しょう症といえば骨密度の低下が原因と思われがちであるが、「骨密度がそれほど低くないにもかかわらず骨折を起こす患者が一定数いる」(斎藤氏)。骨密度が若年平均値(YAM)>70%の閉経後女性1,614例を観察した斎藤氏らの研究から、骨密度が高くても骨折する症例には、「過体重(平均BMI>30)」「・糖尿病・脂質異常症など生活習慣病の併発」という特徴があることが明らかになったという。これは、生活習慣病が骨密度以外の骨強度因子に悪影響を及ぼしていることを示唆している。

骨の強度は骨密度に加えコラーゲンによっても規定されており、骨コラーゲンが劣化することで骨折が起こる「骨質劣化型」の骨粗しょう症があるという。斎藤氏によると、骨粗しょう症は「低骨密度型」「骨質劣化型」と、「骨質劣化型+低骨密度型」の3つのタイプに分類され、骨折のリスクは健康人と比べ、それぞれ3.6倍、1.5倍、7.2倍に跳ね上がる。骨のコラーゲンが劣化する原因は、動脈硬化の原因でもある終末糖化産物(AGEs)の沈着だ。糖尿病、腎不全患者や動脈硬化リスクのある骨粗しょう症患者の検討から、生活習慣病では、骨コラーゲンにAGEsのひとつであるペントシジン架橋の過形成が生じており、「コラーゲンの老化」が進んでいることが明らかになっているという。

治療では、低骨密度型にはビスホスホネート製剤やデノスマブ、骨質劣化型にはSERMs(女性)、活性型ビタミンD3製剤、ビタミンK2製剤、骨質劣化型+低骨密度型にはビスホスホネート製剤やデノスマブと活性型ビタミンD3製剤を用いる。新規骨折が発生した場合にはテリパラチドの投与も考慮する。ビスホスホネート製剤は投与後3~5年で骨密度の評価を行い、大腿骨近位部の骨密度がYAM70%以上に改善しており、既存の椎体骨折のない中リスク患者であれば休薬も考慮。既存骨折があれば治療継続となる。「患者のタイプを見極めて、治療開始時からテーラーメイド化した治療を行うことが望ましい」(斎藤氏)

齊藤氏は過去に、コントロール不良の2型糖尿病患者(70代女性)に対して、X線所見で椎体骨折が認められたことから、骨粗しょう症治療の必要性を説明。しかし骨密度が高く、患者本人にも自覚症状がないといってその後来院せず、治療ができなかったとのこと。結局この患者は1年半後に、さらなる椎体骨折を起こして再来院した。「糖尿病、腎不全など、疾患ごとに治療を行っていたのでは、骨折を防げない。生活習慣病も骨粗しょう症も、トータルで治療していく必要がある」と訴えた。

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