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血液脳関門通過技術を利用した新薬開発に着手-JCRファーマ

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2015年04月16日 PM06:00

通常の20~100倍の効率で血液脳関門を通過させることが可能

JCRファーマ株式会社は4月14日、同社が独自開発した血液脳関門通過に関する技術「」の実用化第一弾として、血液脳関門通過型ハンター症候群治療酵素JR-141(血液脳関門通過型遺伝子組換えイズロネート-2-スルファターゼ)の開発業務に着手したことを発表した。

J-Brain Cargoは、脳毛細血管の内皮細胞表面に発現する特定のレセプターを介して、目的とする物質の脳血液関門通過を実現する技術。同社の実験では通常の20~100倍の効率で血液脳関門を通過させることができたという。

対象薬剤に血液脳関門通過能を付与できる画期的な技術であるJ-Brain Cargoは、静脈内投与で十分量の薬剤が脳内に到達して薬効を発揮するため、これまで改善が期待できなかった中枢神経症状を伴う病態に対し、大きな改善効果が期待できるとしている。

開発・販売の優先交渉権はGSKが保有

ハンター症候群などのライソゾーム病に対する既存の治療酵素製剤は、血液脳関門を通過できないため、脳内で薬効を発揮できず、中枢神経症状に効果が期待できないという課題があった。そのため中枢神経症状に対して、髄腔内投与などの特殊な投与方法も試みられているが、患者にとって負担が大きく、また、脳実質全体に薬剤が到達できないなどの問題が懸念されていた。

従来型のハンター症候群治療酵素にJ-Brain Cargoを適用させたJR-141は、同社が行った動物試験で、脳への薬剤移行や中枢神経系障害の改善効果において非常に良好な結果を示したという。同社では、今後、専門医との協議を進めつつ、具体的な開発計画の策定を行い、2016年度内の臨床試験開始を目指すとしている。なお、同剤の開発・販売についてはグラクソ・スミスクライン社が優先交渉権を有している。

今後、同社はJR-141に引き続き、中枢神経系の症状を現わす他のライソゾーム病に対して、J-Brain Cargoを適用した治療酵素を順次開発する予定。加えて、今回の分野以外のタンパク質や抗体等の高分子物質から低分子物質までのさまざまな医薬品への応用も可能としており、これまで治療法の開発が待ち望まれていた疾患の治療薬開発につながる可能性を考慮し、他社へのライセンスも視野に入れて活動していくとしている。

▼外部リンク
JCRファーマ株式会社 ニュースリリース

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