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イミフィンジ、P3試験で「限局型小細胞肺がん」の死亡リスクを27%改善-英AZ

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2024年06月13日 AM09:10

肺がんの中でもLS-SCLCは特に予後不良

英アストラゼネカ社は6月11日、同社のイミフィンジ(R)(一般名:デュルバルマブ)が、第3相ADRIATIC試験の結果において、標準治療の同時化学放射線療法(cCRT)後に進行のない限局型小細胞肺がん(LS-SCLC)患者さんに対し、プラセボと比較して2つの主要評価項目である全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)の統計学的に有意かつ臨床的に意義のある延長を示したと発表した。これらの結果は、2024年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会のプレナリーセッションで発表されている。

肺がんの約15%が非常に悪性度の高いSCLCに分類される。SCLCと診断される患者の約30%を占めるLS-SCLC(ステージ1~3)は、一般に片側の肺または胸部のみに認められる。LS-SCLCは通常、標準治療である化学療法と放射線療法に対し最初は奏効するものの、再発し、急速に進行する。診断後の5年生存率はわずか15~30%であり、LS-SCLCの予後は特に不良だ。

プラセボと比較し3年生存率長く、病勢進行が認められなかった患者も多い

イミフィンジはヒトPD-L1に結合するヒトモノクローナル抗体。PD-L1とPD-1およびCD80との相互作用を阻害することで、腫瘍の免疫逃避機構を抑制し、抗腫瘍免疫反応を誘発する。

事前に規定された中間解析の結果ではプラセボに対し、死亡リスクを27%低下させたことが示された(OSハザード比 [HR] 0.73;95%信頼区間 [CI]0.57~0.93;p=0.0104)。OSの推定中央値は、プラセボ群では33.4か月だったのに対し、イミフィンジ群では55.9か月だった。3年生存率は、プラセボ群では推定48%だったのに対し、イミフィンジ群では57%だった。また、イミフィンジ群では病勢進行または死亡のリスクがプラセボと比較して24%低下した(PFS HR 0.76;95%CI 0.61-0.95;p=0.0161)。PFS中央値は、プラセボ群では9.2か月であったのに対し、イミフィンジ群では16.6か月だった。2年後に病勢進行を認めなかった患者の割合は、プラセボ群では推定34%であったのに対し、イミフィンジ群では46%だった。

観察されたOSおよびPFSのベネフィットは、年齢、性別、人種、診断時の病期、放射線治療歴、および予防的全脳照射の有無を含む事前に規定した主要な患者サブグループ全体でおおむね一致していた。安全性プロファイルはおおむね管理可能であり、同剤の既知のプロファイルと一貫していた。また、新たな安全性シグナルは認められなかった。原因を問わないグレード3および4の有害事象は、イミフィンジ群の24.4%とプラセボ群の24.2%の患者で発現が認められた。

イミフィンジは化学放射線療法後に病勢進行していない切除不能なステージ3のNSCLC患者に対する治癒目的の治療において唯一承認された免疫療法であり、世界的な標準治療となっている。また、進展型SCLC(ES-SCLC)の治療薬としても承認されており、転移性のNSCLCの治療においても短期間のイジュドおよび化学療法との併用療法として承認されている。その他、胆道がん、肝細胞がん、進行膀胱がんの治療薬としても複数の国で承認されている。

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