日本医療機能評価機構は、シリンジポンプの単位選択を誤り、意図しない流量で薬剤を投与した事例が2017年1月から6年半で8件発生したことを医療安全情報で公表し、医療従事者に注意喚起した。
事例が発生した薬剤は、麻酔用剤のレミフェンタニル塩酸塩、プロポフォールで各3件、循環不全改善剤のドブタミン塩酸塩、狭心症治療剤のニコランジルで各1件。具体的には、麻酔担当医が手術時にレミフェンタニル塩酸塩を0.05μg/kg/minで投与開始予定だったが、シリンジポンプの単位設定時に誤って「mg/kg/hr」を選択し、0.05mg/kg/hrで開始。シリンジポンプに換算済みの流量「31mL/h」も合わせて表示されていたが、麻酔担当医は見ていなかった。投与開始直後、患者の眼球が上転し、サチュレーション(SpO2)が60%台まで低下したことから、16.7倍の過量投与だったと判明した。
これら事例が発生した医療機関では、単位を変更できるシリンジポンプの設定時は、投与量の数値だけでなく単位も確認することなどに取り組んでおり、同機構は、これらを参考に自施設に適した方法を検討するよう呼びかけた。