同研究は、薬局製剤指針等の改定に向けた基礎資料とすることを目的に、現在の薬局製剤指針、製造販売承認基準、薬局の実態等を整理し、漢方・生薬製剤の位置付けについて検討したもの。薬局製剤をめぐっては、薬局製剤指針の範囲内で承認されており、漢方処方が236品目収載されているが、一般用漢方製剤承認基準に示す漢方処方であっても一部の漢方処方は薬局製剤として認められていない。
また、単味生薬製剤のほとんどは薬局製剤指針に収載されておらず、薬局製剤として認められていないのが現状で、医療用区分で漢方処方の調剤に用いることを効能・効果として承認された生薬を処方箋に基づかず、生薬として販売(零売)している実態も見られていた。
昨年11月から今年1月にアンケート調査を実施した結果、薬局製剤を「取り扱わない」と回答した薬局は約75%で、その理由は「需要がない」が約半数を占めた。「費用対効果が悪い、手間がかかる、余裕がない」といった煩雑さを理由に取り扱わない薬局も2割を超えた。
一方、薬局製剤を「取り扱う」薬局のうち、約78%は生薬を含む製剤を取り扱っていると答え、回答薬局全体の約2割が生薬を含む製剤を取り扱っていた。生薬を単味で販売することがあるかとの質問には17%の薬局が「ある」と回答し、その販売形態としては「刻み」または「粉末」である場合が多かった。
調査結果から、一般用漢方製剤製造販売承認基準に示される漢方処方で薬局製剤指針に収載されていない処方について、新たに薬局製剤として薬局製剤指針に収載してほしいとの要望が少なからずあったことが判明。単味生薬製剤を購入したい消費者が相当数いたことも明らかとなった。
研究班は、零売などの不適切な販売の是正に向けては、薬局製剤として販売可能な漢方処方に基づく品目を充実させることや、一般用生薬製剤製造販売承認基準に示された単味生薬製剤を薬局製剤として販売できるよう薬局製剤指針を改訂し、これらの品目を加える必要性も指摘した。
調剤薬局での生薬の取り扱いの難しさや関連知識の不足を指摘する声も多く、より多くの薬局が生薬を含む薬局製剤を取り扱えるようにするためには「適切な手引きやガイドラインの策定を行うことが望ましい」と提言した。