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【中医協総会】薬局数は過剰、都市部集中-薬剤師の病院シフト必要

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2025年06月27日 AM11:00

厚生労働省は、全国の薬局数が約6万3000軒、薬局薬剤師数が19万人に増え、人口の多い都市部に集中している薬局・薬剤師偏在の実態を25日の中央社会保険医療協議会総会に示した。処方箋発行枚数の増加よりも薬局薬剤師数の増加が上回る傾向にある一方、病院薬剤師は依然不足している現状もあり、複数の委員から薬剤師を薬局から病院にシフトするよう求める声が出た。今回公表したデータは2026年度診療報酬改定に向けた議論の参考にする予定。今後、外来患者数の減少が予想される中、地域の医療提供体制を担う薬局の評価のあり方が焦点となりそうだ。

今回公表されたデータでは、薬局数の増加を問題提起した。薬局の総数は23年度で6万2828施設に達している。5年間の推移で見ると、東京都と大阪府は400薬局以上、愛知県や神奈川県、埼玉県は300薬局以上増加している一方、秋田県、広島県、山口県などは減少しており、都市部に薬局が集中している現状が明らかになった。2次医療圏別に見た処方箋発行枚数当たりの薬局数は最大約6倍の差があり、過疎地域は全国平均を下回る地域が多い傾向にある。

薬局数の増加と並行して薬局薬剤師数も増加している。22年度に19万0735人に達し、20万人に迫る勢いだ。1989年時点では医療機関・薬局に従事する薬剤師数の55%の割合だったのが75%まで拡大しており、病院薬剤師との業態偏在が顕在化している。薬局薬剤師数と処方箋発行枚数の変動率の推移でも、2002年度までは処方箋発行枚数の増加率の方が大きかったが、04年度には逆転して薬局薬剤師数の増加の方が多い。

森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は、「都市部の門前薬局の開局が続いている一方で、このまま何も手を打たずに見守っているだけでは、都市部以外の地域や過疎地域における薬局・薬剤師の不足傾向がさらに進んでいくことが危惧される」と指摘。薬局が充足している地域は「新規開局のあるべき姿について検討する」必要性を訴えた。

都市部以外の地域や過疎地域の薬局については「地域行政の連携のもと、地域の中で余裕のある薬局が、不足している地域、薬局が存在せずに困っている地域を何らかの形で支援していくことも含め検討していく必要がある」と語った。

長島公之委員(日本医師会常任理事)は「薬局薬剤師数は需要より増加している一方で、病院薬剤師の確保は喫緊の課題」と述べ、「薬剤師を薬局から病院にシフトさせることが必須」との考えを示した。

患者代表の高町晃司委員(日本労働組合総連合会「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)も、「病院薬剤師不足の最大の原因は薬学部を卒業した学生が調剤薬局やドラッグストアを就職先に選ぶ傾向が強いことにある」と問題視。

学生が病院薬剤師を就職先に選ぶためには「ドラスティックな方策が必要。病院薬剤師は薬害防止という観点からも非常に重要な役割を担っている」と国に対応を促した。

 

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