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コロナワクチン接種意向に、どの情報源から健康情報を取得するかが影響-筑波大

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2023年02月07日 AM11:22

集団接種開始前にワクチン接種意向が定まっていなかった人を対象に追跡調査

筑波大学は2月3日、2万人以上の大規模全国アンケート調査によって得られたデータを用いてワクチンの接種状況と、20種類の情報源の利用との関連性を評価し、その結果を発表した。この研究は、同大医学医療系の堀大介助教らの研究グループによるもの。研究成果は、「Environmental Health and Preventive Medicine」に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

ワクチンは感染症に対する最も有効な予防方法の一つであるが、感染症を封じ込めるためには、有効なワクチンの開発だけでは不十分だ。十分な数の人々がワクチンを接種することで、ワクチンは最大限に効果を発揮する。海外の研究では、新型コロナウイルス(COVID-19)のワクチン接種が開始される前の接種意向から、その後の接種状況までを追跡した研究例がいくつか報告されている。ワクチンを接種したいと以前から考えていた人の中では、集団接種の開始後にワクチンを接種した人が多く、逆に接種したくないと以前から考えていた人の中ではその後も未接種の人が多くいたこと、両者の中間であった人々の中には接種した人もそうでない人もいたことが示されている。しかし、そうした人々の意思決定がどのような要因に影響を受けたかについては、よくわかっていなかった。日本では、新型コロナワクチンの接種が開始される以前、約3分の1の人がワクチンを受けるべきか否か決めかねており、このような人々がワクチンを接種するかどうかが集団免疫の達成を左右する状況だった。

ワクチン接種の意思決定には情報源が大きな役割を果たすと考えられている。日本における過去の研究では、健康に関する情報源の種類がワクチン接種意向と関係することが報告されていたが、その多くは集団接種が開始される以前の接種意向の調査に留まっていた。そこで研究グループは、ワクチンの集団接種開始前にワクチン接種意向が定まっていなかった人々を対象に追跡調査を行い、利用していた情報源の種類とワクチンの実際の接種状況との関連性を評価した。

健康情報取得に利用する20種類の情報源と接種状況との関連を解析

研究では、「日本におけるCOVID-19問題による社会・健康格差評価研究(JACSIS)」において収集された、2万人以上の大規模全国アンケート調査によって得られたデータを解析した。JACSISは、日本において健康・医療・働き方・経済などの諸問題がコロナ禍でどのように変化したかを調査するために、インターネット調査会社にモニターとして登録されている人々を対象に、2020年に開始された前向きコホート研究で、現在も継続的に調査が続けられている。

まず、ワクチンの集団接種が開始される前の2021年2月にワクチンの接種意向を尋ね、「様子を見てから接種したい」と回答した人(集団接種の開始当初に優先接種の対象であった医療従事者・高齢者・基礎疾患のある人を除く)を、追跡した。さらに、全国民がワクチンを接種できるようになった同年9〜10月に、実際のワクチンの接種状況を尋ねた。

併せて、家族、友人・知人、、医療従事者、有名人、、官公庁のウェブサイト、研究機関のウェブサイト、動画共有サイト、、Twitter、、Instagram、ネットニュース、新聞、雑誌、書籍、テレビのニュース、テレビのワイドショー、ラジオといった20種類の情報源それぞれについて、COVID-19など健康に関する情報を得るために利用しているかを、「はい」か「いいえ」で回答してもらった。

これらのデータを、二項ロジスティック回帰分析を用いて統計解析し、調整オッズ比と95%信頼区間を推定した。2021年秋時点でのワクチンの接種状況を二群に分類し(一回以上接種済み/予約者/意向あり=1、様子を見てから接種したい/接種したくない=0)、目的変数とした。説明変数は、20種類の情報源および性別や年齢などだった。

情報源が「職場・学校」や「LINE」だった人はワクチン接種率が高い

不自然な回答や欠値を除外し、実際の解析対象者は5,139人(平均年齢:42.8歳、女性:55.7%)だった。このうち、2021年秋にワクチン接種を済ませていた者(予約者・意向がある者含む)の割合は85.7%だった。テレビのニュースから健康関連情報を得た人が78.8%である一方、Facebookから情報を得た人は4.0%など、媒体によって使用率には大きな幅があった。

さらに回帰分析をした結果、ワクチンを接種した人は職場・学校[調整オッズ比:1.49,95%信頼区間:1.18-1.89]やLINE[1.81,1.33-32.47]から情報を得た人に多く、ネットニュース[0.69,0.55-0.86]や動画共有サイト[0.62,0.48-0.82]から情報を得た人では少なかったことがわかった。

情報源の特性を理解し、適切に活用することが重要であることを示唆

研究により、新型コロナワクチンの接種が開始する前に様子見していた人々の意思決定には、利用する情報源の種類が重要な役割を果たしていたことがわかった。職場・学校やLINEからの情報が、接種意向を促したと考えられる一方で、ネットニュースや動画共有サイトからの情報は、逆方向に働いた可能性がある。公衆衛生の専門家らにとって、さまざまな情報源の特性を理解し、適切に活用することが重要であったと示唆された。

ただし、情報を得ることとワクチン接種とで、どちらが原因でどちらが結果の関係にあったのか断言できないこと、それぞれの情報源からどのぐらいの頻度でどのような情報を得ているかはわからないこと、インターネット調査会社の登録モニターには属性などに偏りがあることなどから、結果の解釈には注意が必要だ。「COVID-19の流行状況や関連する政策などに応じて人々の意識は常に変化し続けていると考えられるため、調査のタイミングによって異なる結果が出る可能性もあり、今後もこの問題に関する議論を継続する必要があると考えられる」と、研究グループは述べている。

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