医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医療 > オミクロンXBB.1.5株、「高い免疫逃避能を保持し感染力も強い」と判明-東大医科研

オミクロンXBB.1.5株、「高い免疫逃避能を保持し感染力も強い」と判明-東大医科研

読了時間:約 2分49秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2023年02月06日 AM10:56

2022年末から米国で感染急増のオミクロンXBB.1.5株、ウイルス学的特徴は?

東京大学医科学研究所は2月3日、オミクロンXBB.1.5株のウイルス学的特徴を、流行動態、感染性、免疫抵抗性等の観点から明らかにしたと発表した。この研究は、同大システムウイルス学分野の佐藤佳教授が主宰する研究コンソーシアム「The Genotype to Phenotype Japan ()」によるもの。研究成果は、「The Lancet Infectious Diseases」オンライン版に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

新型コロナウイルス()は2023年1月現在、全世界で6億人以上が感染し、670万人以上を死に至らしめている。世界中でワクチン接種が進んでいるが、種々の変異株が相次いで出現しており、いまだ収束の兆しは見えていない。

2021年末に南アフリカで出現した新型コロナウイルス「(B.1.1.529, BA系統)」は、当初オミクロンBA.1株が全世界に伝播し、その後オミクロンBA.2株へと置き換わった。これまで、オミクロンBA.2株の亜系統(, XBB.1など)が断続的に出現している。

2022年末、米国において、XBB.1株の子孫株であるXBB1.5株の感染が急激に増加している。XBB.1.5株は、新型コロナウイルスの「懸念される変異株(VOC:variant of concern)」に分類されている。

XBB.1.5株はXBB.1株より実効再生産数が1.2倍高い

そこで研究グループは今回、オミクロンXBB.1.5株のウイルス学的特徴を明らかにするため、まず、米国内のウイルスゲノム取得情報をもとに、ヒト集団内におけるオミクロン株の実効再生産数を推定した。その結果、オミクロンXBB.1.5株の実効再生産数は、オミクロンXBB.1株に比べて1.2倍高いことを突き止めた。

ACE2への結合力が高く、XBB.1株より感染力が3倍高い

また、スパイクタンパク質と感染受容体ACE2との結合を実験的に検証した結果、オミクロンXBB.1.5株スパイクタンパク質のACE2への結合力が、オミクロンBA.2株と比べると6倍、オミクロンXBB.1株と比べると4倍高くなっていることが明らかになった。

さらにウイルスの感染性を評価したところ、オミクロンXBB.1.5株はオミクロンXBB.1株と比べ、3倍高い感染力を示した。オミクロンXBB.1.5株のスパイクタンパク質は、オミクロンXBB.1株のスパイクタンパク質と比較してS486Pという変異を保有している。つまり、オミクロンXBB.1.5株は、スパイクタンパク質にS486P変異を獲得したことで、オミクロンXBB.1株よりも強く感染受容体ACE2と結合できるようになり、その感染性を高めたと考えられるという。

BA.2株/BA.5株ブレイクスルー感染で誘導される中和抗体に、極めて強い抵抗性示す

次に、オミクロンXBB.1.5株に対する中和抗体の感染中和活性について実験的に検証した。中和抗体はウイルスの感染を防ぐ重要な役割を持つ。しかし、これまで流行している変異株の多くは中和抗体に対して抵抗性を示すようになっており、有効な感染対策を講じるためには、流行株に対する中和抗体の活性を検証することが必要だ。

検証の結果、オミクロンXBB.1.5株は、オミクロンBA.2株、もしくはオミクロンBA.5株のブレイクスルー感染によって誘導される中和抗体に対して極めて強い抵抗性を示し、この抵抗性の強さは祖先株であるオミクロンXBB.1株と同程度だったという。

これらの結果から、オミクロンXBB.1.5株は高い免疫逃避能を保持しつつ、細胞への感染性をより高めた変異株であることが明らかになった。

第9波回避のためにも、変異株についてのウイルス学的な解析や評価を続けることが重要

今後、オミクロンXBB.1.5株の流行は全世界に拡大していくことが予想されており、第9波の主体になる可能性も懸念されている。これを回避するため、有効な感染対策を講じることが肝要だ。

G2P-Japanコンソーシアムは、今後も新型コロナウイルスの変異(genotype)の早期捕捉と、その変異がヒトの免疫やウイルスの病原性・複製に与える影響(phenotype)を明らかにするための研究を推進するとしており、現在、出現が続くさまざまな変異株について、ウイルス学的な性状解析や、中和抗体や治療薬への感受性の評価、病原性についての研究に取り組んでいる。

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 医療

  • 間質性肺炎、線維化進行予測の新規バイオマーカー「SP-B」同定-阪大
  • ウェルナー症候群の動脈硬化を試験管内で模倣する細胞モデル確立-千葉大ほか
  • 思春期の「インターネット不適切使用」で精神病症状・抑うつリスク増-都医学研ほか
  • 希少疾患RVCL、TREX1機能異常がDNA二本鎖切断引き起こす機序判明-新潟大ほか
  • パーキンソン病マウス脳にASO局所投与でαシヌクレイン伝播抑制-東京医歯大ほか