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Treg分化メカニズムの一端を解明、新たな炎症性疾患治療法開発の可能性-東邦大

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2019年07月10日 PM01:15

Treg細胞と炎症性疾患症状悪化の関連性について研究

東邦大学は7月8日、JunBという転写因子が、インターロイキン-2()というサイトカインのシグナルを活性化することにより、免疫のブレーキ役としてはたらく制御性T細胞()の生成を促進することを明らかにしたと発表した。この研究は、同大医学部生化学講座の片桐翔治大学院生、山﨑創准教授、中野裕康教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Mucosal Immunology」誌に掲載されている。


画像はリリースより

免疫系は、さまざまな病原体に対する防御に不可欠である一方、不適切に活性化すると自分自身を攻撃して自己免疫疾患を招くため、正しく制御される必要がある。Treg細胞は、免疫系の過剰な活性化を防ぐ重要な役割を担っており、この細胞の機能が低下しているマウスでは、さまざまな自己免疫疾患を発症しやすくなったり、炎症性疾患の症状が悪化したりすることがわかっていた。しかし、体の中に十分な数のTreg細胞を準備する仕組みについては未解明な部分が多い。

JunBのはたらきやIL-2シグナルの調節で症状を緩和する、新たな治療の可能性

研究グループは今回、DNAに結合して遺伝子の発現を調節する転写因子と呼ばれるタンパク質のひとつ「」に着目。この因子がIL-2というサイトカインのはたらきを通じてTreg細胞の数を保つために重要であることを明らかにした。

まず、JunB欠損マウスにデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)大腸炎モデルを誘導したところ、野生型マウスと比較して症状が悪化することが判明。JunB欠損マウスの組織を解析してみると、Treg細胞の数が減少していたことから、これが大腸炎の重篤化の原因と考えられた。次に、Treg細胞の分化にIL-2のシグナルが必要である点に着目して解析を進め、JunBを欠損するT細胞では、IL-2受容体の発現が低いことに加え、自分自身が放出するIL-2の量も少ないために、Treg細胞への分化が十分に誘導されないことを突き止めた。

潰瘍性大腸炎などの炎症性疾患や多くの自己免疫疾患は、治療戦略はもとより、症状の発症・増悪メカニズムについても詳細が明らかにされていなかった。「今回の発見により、炎症性疾患の病勢を決めるメカニズムの一端が解明されたほか、JunBのはたらきやIL-2シグナルの強さを調節するというアプローチにより、症状を緩和するという治療に向けた新たな可能性が広がった」と、研究グループは述べている。

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