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サトラリズマブ、視神経脊髄炎関連疾患のP3試験で再発リスクを62%減少-中外製薬

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2018年10月17日 PM12:45

視神経と脊髄の炎症性病変を特徴とする自己免疫疾患

中外製薬株式会社は10月15日、視神経脊髄炎関連疾患(NMOSD)を対象として開発中のヒト化抗IL-6受容体リサイクリング抗体サトラリズマブ(開発コード:SA237)について、第3相国際共同治験「SAkuraSky試験(NCT02028884)」の結果を発表した。この試験結果は、ドイツ・ベルリンで開催された欧州多発性硬化症学会(ECTRIMS)2018で発表された。

NMOSDは、視神経と脊髄の炎症性病変を特徴とする中枢神経系の自己免疫疾患。NMOSDの患者は再発経過をたどることが多く、神経の損傷や障害が蓄積され、生涯にわたって衰弱を引き起こす。症状として、視覚障害、運動機能障害や生活の質の低下などが現れ、症状の発生が致死的な結果となる場合もある。

同症は、(AQP4)に対するIgG型自己抗体が中枢神経系に侵入することで発症すると考えられているが、NMOSDの患者のうち、3分の1には抗AQP4抗体の発生が認められていない。また、炎症性サイトカインであるIL-6は、NMOSDの発症に重要な役割を果たしていることが明らかになりつつあるが、未だ承認された治療薬のないのが現状であった。

抗AQP4抗体陽性群では再発リスクを79%減少

SAkuraSky試験は、NMOSDを対象として、サトラリズマブをベースライン治療に上乗せ投与した際の有効性および安全性を評価した第3相国際共同治験。主要評価項目は、二重盲検期間における治験計画書に規定された初回再発(独立委員会により判定)までの期間。

試験の結果、免疫抑制剤に対するサトラリズマブの上乗せ投与は、NMOSDの患者(抗AQP4抗体陽性/陰性をいずれも含む)における再発リスクを62%減少させ、統計学的な有意差をもって主要評価項目を達成した。治験開始48週時点の無再発率は、同剤群で88.9%、プラセボ群で66.0%であり、治験開始96週時点の無再発率は、同剤群で77.6%、プラセボ群で58.7%だった。さらに、事前に規定されたサブグループ解析の結果、同剤は抗AQP4抗体陽性群において、プラセボ群と比較し再発リスクを79%減少させた。

また、同剤は約2年間の治療期間(平均値)を通じて良好な安全性プロファイルを示した。重篤な感染症を含む重篤な有害事象の生じた患者の比率は、同剤群とプラセボ群で同様であり、死亡およびアナフィラキシー反応は認められなかったとしている。

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