ヒアリングでは、製薬協が一部変更承認申請について、過去に提出した資料を再度提出する必要がある現状に対し、データの電子化を進めて申請者の作業負担を軽減するよう要望。米国研究製薬工業協会(PhRMA)は、遺伝子組み換え技術を応用した医薬品に対する生物の多様性確保を目的としたカルタヘナ法による評価のタイミングなど、日本だけで必要な制度を改善し、海外の規制と整合性を図ることを求めた。
さらに、欧州製薬団体連合会(EFPIA)は審査の透明性確保を目的に、専門協議前の書類のマスキング(黒塗り)を廃止することなどを要請した。
これら要望に対して、PMDAは「ペーパーレス化は環境整備が必要で、セキュリティ担保の課題もある。今後具体的に議論し、2019年度中に方向性を出したい」と回答。一部変更承認申請の改善については「合理化に向けたタスクフォースを組んで、2019年春に結論を出したい」と前向きに取り組む考えを示した。
海外とのデータの整合性についても「日本人特有のデータの扱いを考える必要があるため、2019年をメドに整備したい」とし、マスキングについても「できるだけ早くなくす方向で考えている」などと改善の方向性を示した。
■遠隔診療の指針議論‐今月に検討会発足へ
一方、作業部会で厚生労働省は、電話などの情報通信機器を使用した遠隔診療について、医師が参考にできるガイドラインの内容を議論する検討会を今月中に立ち上げ、2018年度内をメドにガイドラインを作成する考えを示した。先行している厚生労働科学研究班での検討内容を参考にし、遠隔診療を行うに当たっての原則や適切な診療形態の事例などを議論する予定だ。
遠隔診療のあり方をめぐっては、2017年11月に開かれた未来投資会議の構造改革徹底推進会合で、厚労省が安全性・有効性の観点から技術面を中心に検討する研究班を立ち上げ、2018年度末をメドに医師が参考にできるガイドラインを作成する考えを示している。
さらに今回、研究班とは別に公正な議論の場としての検討会を今月中に立ち上げる考えを明らかにした。遠隔診療を行うに当たっての原則、医療上の必要性や有効性担保を目的に、診療形態の例示などを議論した上で、2018年度内をメドにガイドラインを作成する。
この日の作業部会では、委員から「様々な形で条件を設定しすぎるのは問題ではないか」とルールの厳格化を避けるべきとの意見も出た。また、初診患者の遠隔診療が保険適用外になるとの厚労省の考えに対し、「離島・へき地といった医療過疎地域で初診が全く評価されないと実質的に診療ができない」「一律に遠隔初診が診療報酬の対象外になると遠隔地の診療機会を奪わないか心配」などの声も上がった。