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東大 硫酸化多糖類によるマラリア原虫の感染を抑えるメカニズムを解明

読了時間:約 1分12秒
2013年11月26日 PM09:47

ヘパリンが強力に侵入を阻害

熱帯地域を中心に世界で深刻な問題となっている熱帯熱マラリアは、ワクチンこそ実用化されていないものの、予防薬や治療薬は多数開発されてきた。しかし、薬剤に耐性のあるマラリア原虫も出現しており、そのさらなる開発が求められている。また、薬剤に用いられている硫酸化多糖類には、マラリア原虫の増殖を抑制するとの報告がある一方で、その仕組みは明らかになっていなかった。今回、研究によりその硫酸化多糖類によるマラリア原虫の感染を抑えるメカニズムが解明されたという。

(画像はプレスリリースより)

このメカニズム解明を発表したのは、東京大学医科学研究所 助教の小林郷介氏と、帯広畜産大学 原虫病研究センター 特任准教授・東京大学大学院農学生命科学研究科 獣医学専攻 准教授(委嘱)の加藤健太郎氏。

両氏の研究グループは、硫酸化多糖類の一種であるヘパリンが、マラリア原虫メロゾイトの表面に存在している複数のタンパク質に結合し、強力に侵入を阻害することを明らかにしたという。

有効な治療薬につながると期待

研究グループは、マラリア原虫メロゾイトの表面に実際に硫酸化多糖類が結合するかどうかをヘパリンを用いて確かめたところ、メロゾイトの先端部にヘパリンが結合することを確認したという。また、このヘパリンの先端部に赤血球表面分子と結合するタンパク質が存在し、このタンパク質がメロゾイトの赤血球侵入には欠かせないことも確認したとしている。

プレスリリースでは、

本研究の成果は、将来硫酸化多糖類やそれに類似した化合物を用いたマラリア治療薬の開発を進めるうえでの基礎的な知見になるとともに、ヘパリンと同様の活性を持つ化合物を人工的に合成することができれば、有効な治療薬となると期待されます。(東京大学大学院農学生命科学科 プレスリリースより引用)

と述べられている。(小林 周)

▼外部リンク

東京大学大学院農学生命科学科 プレスリリース
http://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/

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