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子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)、副反応実態など追加しパンフレット改訂へ-厚労省

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2017年12月25日 AM11:00

「接種勧奨中止の解除」は審議されず

第32回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、平成29年度第10回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会が12月22日、厚生労働省内で合同開催され、)に関する国民向けの情報提供パンフレットの改定素案について、出席委員の意見を踏まえて新たな素案を作成する方針となった。また、新たなパンフレットの広報については、既存の厚労省HPや地方自治体、接種を行う医師を通じたチャネル以外にも、多方面からの情報提供を検討する。

※12月22日公開の速報記事はこちら⇒【速報】子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)、新たなパンフレット作成へ-厚労省


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一方、従来から焦点になっている接種勧奨中止の解除について、今回の審議では触れなかったが、パンフレットの一部に改定後も接種勧奨中止に関する文言が継続して掲載されることから、当面この政策は維持される見込みだ。

ワクチン接種で10万人あたり859~595人の子宮頸がん罹患回避を期待

この日、事務局は被接種者・保護者向けの一般的な情報提供と接種直前の情報提供、医療従事者向け情報提供を想定した3つのパンフレットの素案を提出。いずれも国内でのワクチンによる効果推計、副反応疑い報告の実態、副反応時の救済制度の実際とその利用状況などの詳細な情報が付け加えられた。

効果推計については、生涯累積リスクによる推計値として、ワクチンの接種により子宮頸がんへの罹患では10万人あたり859~595人、子宮頸がんによる死亡では10万人あたり209~144人の回避が期待できると追記する。

新たに、発生する可能性のある副反応を頻度別に記載

接種による副反応については、サーバリックス、ガーダシルの2種類のワクチンについて、新たに発生する可能性のある副反応を一覧表として頻度別にまとめた。同時に副反応の疑いがある報告の実態について、平成29年8月末までの集計値として、接種後短期間で回復した失神等も含む総報告数を3,130人(10万人あたり92.1人)、うち医師または企業が重篤と判断した報告数は1,784人(10万人あたり52.5人)であると新たに記述した。

副反応に関する救済制度については、接種と副反応の「厳密な医学的な因果関係までは必要とせず、接種後の症状が予防接種によって起こることを否定できない場合も救済の対象とする」という従来からの救済コンセプトを改めてパンフレット内で説明。平成29年9月末までにHPVワクチン接種で救済制度の対象となった予防接種法に基づく救済対象者が21人(救済審査者合計36人)、医薬品医療機器総合機構法(PMDA法)に基づく救済の対象者が274人(同436人)だったと記述した。

接種後の慢性的な症状に否定的な表現を盛り込む

接種勧奨中止のきっかけともなった接種後の疼痛、しびれなどの慢性的な症状について、被接種者・保護者向けのパンフレット素案では「機能性身体症状であると考えられています」と記述。因果関係についても「『接種後1か月以上経過してから発症している人は、接種との因果関係を疑う根拠に乏しい』と専門家によって評価されています」とし、「HPVワクチン接種歴のない方においても、HPVワクチン接種後に報告されている症状と同様の『多様な症状』を有する方が一定数存在したことが明らかとなっています」と否定的な表現を新たに盛り込んだ。ほぼ同様の内容は医療従事者向けパンフレット素案にも記載された。

また、医療従事者向けパンフレットでは「機能性身体症状」について、「痛みなどの何らかの身体症状があり、病院を受診し、画像検査や血液検査を受けた結果、その身体症状に合致する検査上の異常や身体所見が見つからず、原因が特定できないことがある状態」と解説。具体的な症状として(1)痛み、感覚が鈍い、しびれる等の知覚に関するもの、(2)力が入らない、安定して歩けない、手足や体が勝手に動く、けいれんする等の運動に関するもの、(3)動悸、下痢など自律神経に関するもの、の3つを主なものとして記述している。ただし、接種勧奨中止について被接種者・保護者向けパンフレット改定素案で「積極的におすすめすることを一時的にやめています」との文言を維持しており、当面は接種勧奨中止を維持していく姿勢をうかがわせた。

事務局サイドでも新たな素案を作成へ

委員からは素案を肯定的に評価する声が多数を占めたものの、「関係学会にも協力を仰いで広報することが望ましいのではないか」「被接種者は中学生以上ということを考えると、文部科学省を通じて中学校以上の学校の養護教諭などにも周知が必要ではないか」「地域の医師会を通じた広報を」など、広報間口の拡大を求める声が相次いだ。

これらの意見を受け副反応部会の桃井眞里子部会長(自治医科大学名誉教授)は「(パンフレットの広報窓口として想定している)厚生労働省や市町村のHPは一般の方がそうそう見るものではない。貴重な意見だ」との認識を示し、事務局も広報連携先について前向きに検討する考えを示した。また、情報提供により情報に接した人たちの中でどれだけ理解が深まったかなどを効果測定すべきとの指摘もあがった。

また、「被接種者はおおよそ中学生であり、保護者との理解能力には差があることから、両者を分けたパンフレット作成が必要ではないか」「被接種者・保護者向けパンフレット素案は、一般の方がより理解しやすい工夫が必要」などの意見もあり、委員からの追加意見などを年内中に収集し、事務局サイドで新たな素案を作成することになった。

今回の素案では、副反応の疑いとして報告され、接種勧奨中止の直接の原因ともなった機能性身体症状について、被接種者・保護者向けパンフレット素案では、医療従事者向けパンフレット素案に比べ、詳細な記述がない。今後の被接種対象者の不安解消に向けて、この点が改定でどのように変化するかも注目されるところだ。(村上和巳)

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