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ふくらはぎが細くなると筋量減少の傾向、年齢・肥満状況によらない-体力医学研ほか

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2025年07月16日 AM09:10

筋量の測定には専用機器が必要、自身の筋量を把握する機会はほとんどない

明治安田厚生事業団体力医学研究所は6月26日、ふくらはぎ周囲長の変化と筋量の変化の縦断的な関係性について、世界で初めて検討した結果を発表した。この研究は、同研究所の川上諒子研究員(兼早稲田大学スポーツ科学研究センター招聘研究員)と早稲田大学スポーツ科学学術院の谷澤薫平准教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Clinical Nutrition ESPEN」に掲載されている。


画像はリリースより
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筋量は若年期をピークに加齢に伴い徐々に減少し、高齢期になるとその減少が加速する。特に高齢期に著しく筋量が不足すると、歩く速度が低下し転びやすくなるなど、日常生活に大きな支障を及ぼす。一方、筋量の測定には専用の測定機器が必要であるため、自身の筋量を把握できる機会はほとんどないのが現状である。筋量の衰えを簡便に把握することができれば、筋量減少の予防・改善にいち早く取り組むことが可能になる。

日本人成人227人対象、個人のふくらはぎ周囲長の変化と筋量の変化を調査

そこで研究グループは、近年、筋量の簡便なスクリーニング法の一つとして広まっているふくらはぎ周囲長に着目し、筋量変化の把握に活用できるか否かを検討した。具体的には、個人のふくらはぎ周囲長の変化と筋量の変化を調査し、これらの関係性を縦断的に検討した。同研究は2015年3月~2024年9月の間に計2回のWASEDA’S Health Studyに参加した40~87歳の日本人成人227人(男性149人、女性78人)を対象とした縦断研究(追跡期間は平均8.0年)。WASEDA’S Health Study(Waseda Alumni’s Sports, Exercise, Daily Activity, Sedentariness and Health Study)は、早稲田大学の卒業生やその配偶者を対象として、運動や食事などの生活習慣が健康に及ぼす影響を長期間にわたり追跡調査を行う研究プロジェクト。参加者の両ふくらはぎ最大周囲長を立位で計測し、左右の平均値を分析に用いた。また専用機器(二重エネルギーX線吸収測定法)を用いて両腕脚の筋量(四肢筋量)を測定し、ふくらはぎ周囲長の変化と筋量の変化の関係を分析した。

ふくらはぎ周囲長の短縮で筋量減少傾向、太さの変化は脚の筋量変化とより強く関係

研究の結果、ふくらはぎ周囲長の変化と四肢筋量の変化との間には正の相関関係が確認された。すなわち、ふくらはぎが細くなった参加者では筋量が減少している傾向が示された。これらの関係性は年齢や肥満状況別にみてもおおむね同様の関係であった。さらに、ふくらはぎ周囲長の変化は、腕の筋量よりも脚の筋量の変化とより強く関係することが示された。

ふくらはぎ周囲長変化をモニタリング、簡易に筋量の変化を推定できる可能性

今回の研究は、ふくらはぎ周囲長の変化と筋量の変化の関係性を検討した世界初の縦断研究である。同研究の結果から、年齢や肥満状況に関わらず、ふくらはぎ周囲長の変化と四肢筋量の変化との間には正の相関関係があることが示された。すなわち、ふくらはぎ周囲長の変化をモニタリングすることによって、誰もが簡易に筋量の変化を推定できる可能性が示唆された。気軽に筋量変化の把握ができれば、早期に筋量の衰えに気づくことが可能となる。筋量や筋力が低下した状態は(サルコペニア)、著しくQOLを低下させるが、何歳からでも筋力トレーニングなどによって予防・改善が可能であるため、生活に支障が出る前に改善に取り組むことが重要である。一般にウエストが太ってきたら肥満を気にするように、ふくらはぎが細くなったら誰もが筋量減少を気にすることが日常になる日はもうそこまで来ているとしている。この観点から、今回の研究結果は、広く一般の健康増進と健康寿命の延伸に大きく貢献するものと自負している、と研究グループは述べている。(QLifePro編集部)

 

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