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スーテント、腎切除後の無病生存期間を1年以上延長-米ファイザー

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2016年10月21日 PM02:00

術後補助療法治療薬として検証するための第3相S-TRAC臨床試験で

米国のファイザー社は10月10日、術後補助()療法治療薬としての「(R)」(一般名:)を検証するための第3相S-TRAC臨床試験の結果を発表した。(RCC)の外科的切除後に高再発リスクの患者において、スーテントが無病生存期間(DFS)をプラセボ比で1年以上延長したとしている。この結果は、デンマークで開催された欧州臨床腫瘍学会の年次大会ESMO2016会議の会長シンポジウムで発表された。また、「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン」のオンライン版に掲載されている。

スーテントは、腫瘍増殖と血管新生に関与する複数の受容体チロシンキナーゼを選択的に阻害する経口マルチキナーゼ阻害剤。2つの重要なスーテントの標的である血管内皮成長因子受容体(VEGFR)と血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)は、多くのタイプの固形腫瘍において発現する。また、腫瘍が成長に必要な血管、酸素、栄養を獲得するプロセスである血管新生において、重要な役割を果たすと考えられている。KIT、FLT3、RETなどの腫瘍の成長にとって欠かせないその他の標的も、スーテントによって阻害される。

同剤は、2006年に進行RCCの治療薬として米国で初めて承認。現在は119か国で承認されている。世界中で25万人以上が、進行RCC、イマチニブ抵抗性またはイマチニブ不耐性の消化管間質腫瘍(GIST)、進行膵神経内分泌腫瘍(pNET)などの承認済み適応症でスーテントの治療を受けている。なお、スーテントの術後補助療法での使用は承認されていない。

RCC患者615人を対象に4週間投与し、その後2週間休薬のスケジュールで

今回結果が発表されたS-TRAC試験は、無作為化二重盲検第3相試験で、腎切除後の再発リスクの高い局所RCC患者615人を対象に、術後補助療法としてのスーテントとプラセボを比較検討したもの。1日あたり50㎎のスーテントまたはプラセボを4週間投与し、その後2週間休薬するスケジュールで、疾患再発、二次悪性腫瘍発生、有意な毒性、または同意撤回による中止まで1年間続けた。

その結果、独立中央審査委員会の評価によると、疾患再発までの期間の中央値は手術後に一年間治療を受けたスーテント群で6.8年、プラセボ群で5.6年。再発リスクは24%減少した。全生存期間(OS)の解析には、さらに追跡期間を要するとしている。

同試験で認められた有害事象は、スーテントの既知の安全性プロファイルと同様だった。最も多く報告された有害反応(>20%)は、疲労感、無力症、および発熱。グレード3以上の有害事象は、プラセボ21.1%に対してスーテントでは62.1%だった。治療毒性に起因する死亡例は報告されていないという。

この試験結果に基づき、ファイザー社は今後の方針について各国の規制当局と協議中だとしている。

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