医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医薬品・医療機器 > 専門医も期待を寄せる「オプジーボ」 今後の課題は?

専門医も期待を寄せる「オプジーボ」 今後の課題は?

読了時間:約 1分33秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2016年02月22日 AM11:00

ドセタキセルと比較して低い有害事象発現率

ヒト型抗ヒトPD-1(programmed cell death-1)モノクローナル抗体「(R)点滴静注20mg、100mg」(一般名:)が、「切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」に対する効能・効果に係る製造販売承認事項一部変更承認を取得したことを受けて、小野薬品工業株式会社とブリストル・マイヤーズ株式会社は2月17日、プレスセミナーを開催。九州大学病院呼吸器科教授で、同病院副病院長の中西洋一氏が「がん免疫療法で変わる肺がん治療」と題して講演を行った。


九州大学病院呼吸器科教授の中西洋一氏

「(ニボルマブが登場するまで)がんに対する免疫力を高める試みはことごとく失敗してきた」と中西氏。PD-1とPD-1リガンドの経路を阻害する免疫チェックポイント阻害薬のニボルマブは、眠った免疫を目覚めさせる、というこれまでとは異なるアプローチでがんを抑える薬である、と説明した。

さらに、中西氏は、ニボルマブが従来の抗がん剤の標準治療薬()と比べて安全性が高いことを強調。全有害事象の出現率は、ドセタキセルの86%に対して、ニボルマブは58%。特に、貧血、白血球減少、好中球現象、発熱性好中球減少症、脱毛症で顕著に低かった、と語った。

副作用マネジメントがさらなる課題のひとつに

ただし、日本肺癌学会からの提言にもあるように、ニボルマブはすべての患者に有効な“夢の新薬”ではない。「今後の課題は、バイオマーカーの探索、副作用マネジメント、そして他剤との併用です」と中西氏。有害事象の発生は少ないものの、肺臓炎などの免疫関連の有害事象は複数の臓器で発生しており、診療科、職種問わずに横断的に対応していくことが重要であるとした。

他剤との併用では、現在、腎細胞がん、、固形がんなどを対象として、ニボルマブと免疫チェックポイント阻害薬の併用など複数の臨床試験が実施されており、中西氏は、「今後10~15年の世界のメーンストリームは免疫チェックポイント阻害薬であることは間違いないと思っている」と話した。

日本で初めて肺がん治療で承認されたがん免疫療法薬であるニボルマブ。中西氏は、講演の最後に「新しい薬ができてすばらしい。ですが、私たちにとっては新たな悩みの種、取るべき対策が出てきた」と、あくまで慎重に投与する必要があるとくぎを刺して締めくくった。

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 医薬品・医療機器

  • 縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー薬「アセノベル」承認-ノーベルファーマほか
  • 遺伝子治療レンメルディ、小児の異染性白質ジストロフィーでFDA承認-協和キリン
  • 発作性夜間ヘモグロビン尿症、補体(C5)阻害剤と併用投与する薬剤「ボイデヤ(R)」の国内初の承認を取得-アレクシオンファーマ
  • 多発性嚢胞腎、iPS病態モデルから見出した治療薬候補の前期P2試験開始-CiRAほか
  • 男性型脱毛症(AGA)治療薬、デュタステリド錠0.5mgZA「トーワ」発売-東和薬品