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沖縄でスミスリン製剤耐性タイプアタマジラミが発生、原因は?

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2012年07月27日 PM07:00
スミスリン製剤耐性タイプのアタラジラミが沖縄で増加

国立感染症研究所昆虫医科学部は、アタマジラミの駆除剤抵抗性について、2006年から2011年までの6年間、全国調査を行い、その概要について公表をしています。

2006年からの通算では、沖縄県由来の試料における抵抗性コロニー率は95.9%で、沖縄県を除く医療機関等を通じて収集した試料(保護者直接提供を除く)に占める抵抗性コロニー率は 5.0%と、沖縄県以外では、増加傾向にはないそうです。

(「アタマジラミのピレスロイド系駆除剤抵抗性」より引用)

医師や薬剤師による正しい指導が必要

では、なぜ沖縄で、スミスリン製剤耐性タイプのアタラジラミが沖縄で増加しているかですが、軍属家族の人口比が大きいことが挙げられます。

米国ではピレスロイド抵抗性のナトリウムチャンネル遺伝子の保有率が 90%を超えている地域が多数存在しており、その遺伝子が、米国から沖縄本島に移入された可能性が高いそうです。

また、沖縄県では保護者の間で、有効性や作用性の明らかでない未認可の薬剤商品(販売者による呼称では頭皮洗浄剤)を駆除に利用しているケースが見られ、それも原因の一つと考えられています。

沖縄以外でも、アタマジラミが寄生していないのに、予防のためにと「スミスリン剤」を毎日使用したり、用法用量を守らず、たくさん使用すれば効果が上がるという誤った考えで使用する例も見られているそうです。

このままでは日本本土においても、耐性化の懸念が高まることから、「」に関する正しい知識の啓発や、医師や薬剤師による、「スミスリン剤」の適正使用に対する指導が必要であると言えます。

▼外部リンク

国立感染症研究所昆虫医科学部
アタマジラミの駆除剤抵抗性についての全国調査結果
http://www0.nih.go.jp/niid/entomology/

厚生労働科学研究費補助金(新興・再興感染症研究事業)
分担研究報告書:アタマジラミのピレスロイド系駆除剤抵抗性
http://www0.nih.go.jp/niid/entomology

ご参考 豊島区:シラミ
http://www.city.toshima.lg.jp/kurashi

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