医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医薬品・医療機器 > X連鎖性ミオチュブラーミオパチー遺伝子治療薬、予備データ解析結果発表-アステラス

X連鎖性ミオチュブラーミオパチー遺伝子治療薬、予備データ解析結果発表-アステラス

読了時間:約 3分29秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2023年11月22日 AM09:20

MTM1遺伝子機能コピーを有するAAV8ベクター「

アステラス製薬株式会社は11月16日、遺伝子治療薬resamirigene bilparvovec(AT132)について、(X-linked myotubular myopathy:XLMTM)患者を対象とした臨床試験(ASPIRO試験)の2022年2月28日時点における予備的なデータ解析結果を発表した。研究成果は、「The Lancet Neurology」オンライン版に掲載されている。

AT132は、XLMTMの治療のための、MTM1遺伝子の機能コピーを有するAAV8ベクター。一度の静脈内投与により標的とする骨格筋にAAV8を送り込み、その標的組織においてミオチュブラリン発現を増加させることにより、患者の転帰を有意に改善させることが期待されている。AT132の前臨床開発は、仏Genethon社と共同で実施された。AT132は、FDAから「再生医療・先端治療(RMAT)」、「希少小児疾病(Rare Pediatric Disease)」、「ファストトラック(Fast Track)」、「(Orphan Drug)」の指定、および欧州医薬品庁(EMA)から「優先医薬品(Priority Medicines:PRIME)」、「(Orphan Drug)」の指定を受けている。

重度の筋力低下や呼吸障害、致死的な神経筋疾患XLMTM

XLMTMは、重度の筋力低下と呼吸障害により若くして死に至る、重篤で致死的な神経筋疾患。生後18か月時点の推定生存率は50%とされており、乳児期を過ぎて生存した患者の場合、10歳までの推定生存率はさらに25%とされている。XLMTMは、骨格筋細胞の正常な発達、成熟および機能に必要なタンパク質であるミオチュブラリンの欠損または機能不全をもたらすMTM1遺伝子変異によって引き起こされる。約4万~5万人の新生児男子に1人の割合で発症するとされている。XLMTMは度重なる入院および外科的介入などにより、患者や家族および医療システムに大きな負担が生じる。XLMTM患者の80%以上が人工呼吸器による補助を必要とし、多くの場合、栄養補給のための胃瘻カテーテルを必要とする。また、ほとんどの患者において、正常な運動発達マイルストーンの遅延や未達が見られる。現在治療法はなく、補助人工呼吸器や栄養チューブなどの支持療法の選択肢しかない。

5歳未満患者対象の臨床試験、現在は差し止め中

ASPIRO試験(NCT03199469)は、5歳未満のXLMTM患者を対象に、AT132の安全性および予備的有効性を評価する国際共同無作為化非盲検漸増投与試験。主要評価項目には、安全性(有害事象および一定の臨床検査値)および有効性(神経筋機能および呼吸機能の評価)が含まれる。副次評価項目には、疾患の負担や健康に関連する生活の質(QOL)、ならびに筋組織学的およびバイオマーカーによる評価が含まれる。なお、AT132プログラムおよびASPIRO試験は現在臨床試験差し止め中。

投与群で人工呼吸器を外せた患者や主要運動マイルストーン達成の患者を確認

発表予定のデータは、2022年2月28日時点で、同試験においてAT132が投与された24人のXLMTM患者のデータが含まれる。今回の予備的なデータ解析では、AT132の単回注射を受けた2つの投与群(1.3×1014vg/kg(低用量)、3.5×1014vg/kg(高用量))と、対照群として試験に組み入れられたものの投与されなかった2人の患者、および自然経過研究から12人の患者を比較した。

予備的なデータ解析の結果、ベースラインでは全ての被験者が人工呼吸器を使用しており、3人が30秒間自立して座ることが可能だった。しかし、これ以上の運動マイルストーンを達成した被験者はいなかった。低用量群では、投与後24週までにベースラインからの平均人工呼吸器サポート時間が対照群と比較して、推定77.7%(95%信頼区間[Confidence Interval:CI]:40.22-115.24, p=0.0002)減少した。高用量群では、推定22.8%(95%CI:6.15-39.37,p=0.0077)減少した。同試験では、データ解析をした時点で、投与された24人の男子のうち16人(低用量群6人、高用量群10人)が人工呼吸器を外すことに成功。低用量群の5人、高用量群の3人は自立歩行が可能になり、他にもいくつかの主要な運動マイルストーンを治療後に達成した。

なお、AT132が投与されなかった参加者14人(対照群2人と自然経過研究からの12人)のうち、人工呼吸器を外すことに成功した患者はいなかった。48週までに5人が30秒間自立して座ることが可能になった。その他の運動マイルストーンは、達成していない。

AT132投与に関連の重篤な有害事象、低用量群2/7人、高用量群9/17人

高用量群では3人(18%)、低用量群では1人(14%)が死亡。AT132投与後に死亡した4人すべての被験者において、肝臓および肝胆道の重篤な有害事象(Serious Adverse Event:SAE)が観察され、死亡時には進行性胆汁うっ滞性肝炎にまで進行した。AT132の投与に関連すると判断されたSAEは、低用量群では7人中2人に、高用量群では17人中9人で観察された。死亡しなかった被験者20人中5人に治療に関連した肝胆道系のSAEが認められた。

「今回の予備的なデータは、組換えAAV遺伝子治療によるミオチュブラリン置換の有効性を示唆するものだ」と、同社は述べている。

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 医薬品・医療機器

  • 男性型脱毛症(AGA)治療薬、デュタステリド錠0.5mgZA「トーワ」発売-東和薬品
  • イブグリース、既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎で承認-リリー
  • 血液で肝臓線維化を定量評価、「HISCL M2BPGi-Qt試薬」保険適用-シスメックス
  • 新型コロナウイルス感染症に対するmRNAワクチン(レプリコン)が世界に先駆け国内製造販売承認取得-Meiji Seika ファルマ株式会社
  • ヘムライブラ、重症血友病Aの乳児P3試験で出血コントロール達成-中外