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【PMDA委員会】先駆け審査制度に慎重意見-「ゾフルーザ」の耐性問題で

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2019年06月19日 PM01:00

)の審査・安全業務委員会が14日に開かれ、画期的な作用機序などを持つ医薬品を対象に審査期間を短縮する「」について、委員から慎重さを求める意見が上がった。特に同制度が適用されたインフルエンザ治療薬「」で耐性ウイルスが報告されていることから、「もう少し時間をかけて審査しても良かったのではないか」と審査期間の短さを指摘する声が出たほか、「対象の裾野が広がり続けるとメリハリがなくなる」とPMDAに対して慎重な立ち位置を求める意見もあった。

先駆け審査指定制度は、海外承認済みである一方、国内では未承認の医薬品を解消することを目的に、審査期間を短縮する制度。この日の会合でPMDAは、2018年度は医薬品2品目が承認され、いずれも審査期間6カ月以内で審査したことを報告した。

ただ、浦郷由季委員(全国消費者団体連絡会事務局長)は、同制度が適用された「ゾフルーザ」の処方後に耐性ウイルスの検出が報告されたことを指摘。「臨床試験段階で耐性ウイルスの検出割合が高く、もう少し時間をかけて審査しても良かったのではないか。処方されても患者が拒否する可能性が出てくるかもしれない」と審査期間の短さを指摘した。

増山ゆかり委員(全国薬害被害者団体連絡協議会世話人)もゾフルーザに言及し、「新しい制度の中で処方する場合、何らかの説明があっても良かった」とした上で、「安全対策の面から、この制度ができたことをきちんと患者に知らせることが必要。また、様々な副作用が出てくると思うので、市販後の安全のための情報収集を慎重かつ丁寧に行う制度にすべき」と注文をつけた。

さらに、革新的医薬品が制度の対象となることに対して、「非常にリスクが高い疾患の患者に焦点を当て、対象の裾野が広がり続けるとメリハリがなくなる。承認制度は透明性、安全性が患者から見えることが医薬品の信頼性を維持する条件となるので、PMDAはもう少し慎重な立ち位置でもいい」と述べた。

これらの意見に対して、PMDAの宇津忍上席審議役(新薬審査等担当)は「先駆け審査指定制度では、通常審査と比べるとデータは少ないが、同じデータを使用しているので、劣るというわけではない」と安全性を強調しつつ、「新薬については市販後の情報を活用し、情報提供していく必要がある」と応じた。

 

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