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腎性尿崩症の新たな発症メカニズムを発見-東北大

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2017年03月01日 PM01:50

遺伝子改変マウスにおいて全身でのNrf2高レベル発現の影響を調査

東北大学は2月23日、腎臓の発生期における遺伝子発現の制御因子(転写因子)Nrf2の過剰な活性化が腎性尿崩症を引き起こすことを発見したと発表した。この研究は、同大学大学院医学系研究科医化学分野の鈴木隆史講師、医化学分野・東北メディカル・メガバンク機構機構長の山本雅之教授らによって行われたもの。研究成果は英科学誌「Nature Communications」のオンライン版で公開されている。


画像はリリースより

腎性尿崩症は、腎尿細管細胞の抗利尿ホルモンに対する反応の障害により尿の濃縮ができず、大量の希釈尿の排泄に至る疾患。抗利尿ホルモン2型受容体の遺伝子異常による先天性の病型がよく知られているが、環境要因による後天性の腎性尿崩症の原因はよくわかっていなかった。

Nrf2は環境ストレスに応答して活性化する転写因子。通常Keap1により抑制されているが、Keap1遺伝子を欠失した場合には、ストレスがない状態でもNrf2が常に活性化する。これまでの研究では、Keap1遺伝子を全身で欠失したマウスは、全身で常にNrf2を高レベルで発現するが、食道閉塞による母乳摂取不全のため生後間もなく死亡してしまい、詳細に調べることが困難だった。そこで今回、食道におけるNrf2発現だけを特異的に抑制したKeap1遺伝子欠失マウスを作製。成獣まで生存が可能になり、食道以外の全身でのNrf2高レベル発現の影響を調べることが可能になったという。

Nrf2の過剰活性化が腎性尿崩症発症の一因

研究グループは、この新たに作出したマウスをNEKOマウスと命名して詳しく調べたところ、腎臓におけるKeap1欠失とそれが惹起するNrf2の過剰活性化が、腎性尿崩症を引き起こすことを発見。さらに、腎性尿崩症の発症には腎臓の発生期におけるNrf2の過剰活性化が重要であることが明らかとなった。

今回の研究から、ヒトにおいても腎臓形成期である胎児・乳児期に環境汚染物質などに暴露するとNrf2が過剰活性化し、腎性尿崩症を引き起こす可能性があることが示唆された。Nrf2は酸化ストレスなどに対する生体保護に働くことから、Nrf2活性化剤は腎臓を含む様々な臓器を対象に、疾患の予防や治療への応用が期待されている。同研究の知見は、妊婦・乳幼児がNrf2活性化剤を服用することで後天的な腎性尿崩症を発症するリスクがあることを示唆しており、今後のNrf2活性化剤開発においても役立つことが期待される。

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