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武田薬品 高血圧治療薬「ブロプレス」の不適切なプロモーションに関する記者会見を開催(前編)

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2014年03月05日 PM03:30

第三者機関を設置し、全ての製品で調査する方針

武田薬品工業株式会社は3月3日、同社が製造・販売する高血圧治療薬(アンジオテンシン受容体拮抗薬)・カンデサルタン(商品名・ブロプレス)を用いた臨床研究「CASE-J」に関連して同社による不適正な行為が行われていたとの疑惑について記者会見し、学会情報の利用の観点で日本製薬工業協会が定める、業界の自主倫理基準の医療用医薬品プロモーションコードに違反する行為があったと発表した。

一方で同社の長谷川閑史社長は会見で「現時点までの調査で当社は同研究の統計解析などには一切関与しておらず、利益相反事項もない」と述べ、不正なデータ操作などは行っていないとの認識を表明した。今後、同社では透明性確保のため第三者機関を設置し、この問題に限らず、全ての製品で利益相反や不適切なプロモーションが行われていなかったかを調査していく方針。

CASE-Jはハイリスク高血圧患者4,703例を対象にカルシウム拮抗薬のアムロジピンと同社のカンデサルタンの複合心血管イベントの発現頻度を主要評価項目として、比較した大規模臨床研究。最終結果で両群の複合心血管イベントの発現頻度に有意差はなかった。

同研究に関しては先ごろ京都大学医学部循環器内科の由井芳樹氏が、同研究の論文も掲載した米医学誌「Hypertension」電子版の2月25日付で、複合心血管イベント累積発現頻度のグラフが複数の存在する可能性や解析手法として比例ハザードモデルを用いたことが不適切と指摘した論文が掲載された。

学会発表時と論文掲載時に提示データが完全に一致せず

会見で同社医薬営業本部の岩崎真人本部長は、研究グループの許諾を受け、06年10月の第21回国際高血圧学会での同研究発表直後にその内容を医学専門誌に記事広告として掲載しており、この点については学会情報の提供という通常の情報提供活動の枠内に収まると説明。

しかし、学会発表時と論文掲載時に提示データが完全に一致しないことがあるため、日本製薬工業協会の医療用医薬品プロモーションコードは、プロモーション資材には論文発表データを用いると定めているにもかかわらず、同社は08年2月の「Hypertension」誌に同研究の論文掲載以降も同広告記事で使用した学会発表グラフをプロモーション資材に転用する違反行為がごく最近まで続いていたことを明らかにした。

また、このプロモーション資材のグラフでは、カンデサルタン群とアムロジピン群の複合心血管イベント累積発現頻度を示したカプランマイヤー曲線がある時点を境に交差し、長期的にはカンデサルタン群の心血管イベント発現頻度がアムロジピン群に比べより低く見える形になっている。この点について岩崎本部長は「統計的に有意差がないにもかかわらず、『交差している』という言葉を使ったが誤解を与える可能性がある内容だった」とし、「患者様、医療関係者の皆様に不安と誤解を与えてしまったことを謝罪する」と述べた。

具体的には同社がプロモーション資材として20万部印刷した「CASE-Jに学ぶ21世紀の日本人の降圧療法」といタイトルのパンフレットの中で前述のグラフが「交差している」と見えるポイントに赤の矢印が付記されているが、これについては誤解を与えるもので、誤りだったとの認識を示した。(

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▼外部リンク

武田薬品工業株式会社
http://www.takeda.co.jp/

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