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東大 インフルエンザウイルス感染によって起こる炎症反応の分子メカニズムを解明

読了時間:約 1分9秒
2013年11月01日 PM10:00

ウイルス侵入で熱が出る理由

東京大学と九州大学が共同で取り組んできた、ウイルス研究の最新結果が発表された。

人はインフルエンザウイルスが鼻腔粘膜に感染すると、鼻の穴の細胞がウイルス侵入を感知し、高熱が出る。この炎症反応には、細胞内のタンパク質の複合体であるNLRP3インフラマソームの活性が関連していることは分かっていたものの、この物質がどのように活性化されるかまでは解明されていなかった。

(画像はイメージです)

東京大学の医科学研究所附属感染症国際研究センターは、今回、九州大学と共同で、このNLRP3インフラマソームと、エネルギーを産出するミトコンドリアの外膜タンパク質であるmitofusin 2(Mfn2)の結合を発見。この結合は、インフルエンザウイルス感染によるNLRP3インフラマソームの活性化と、炎症誘発性サイトカイン(インターロイキン1β)の産生に必要であることが明らかとなったという。

研究結果によって期待されること

今回この研究で明らかになった炎症反応の分子メカニズムによって、ウイルス感染後の過剰な炎症や悪化を制御するための治療法、治療薬の開発に期待が寄せられるという。

また、炎症を起こさせることによりインフルエンザワクチンをより効果的なものにするための物質(アジュバント)の発見にも役立つ可能性があるとしている。

こうした感染症のメカニズム研究の担うところは、感染による炎症だけにとどまらない。NLPR3インフラマソームは、ウイルス感染症だけでなく、アスベストによる肺線維症や肺がん、過食によって体内に蓄積した尿酸結晶が引き起こす痛風にも関わることが知られており、今後の研究成果が幅広い医療につながることが期待されている。(dirie)

▼外部リンク

東京大学 プレスリリース
http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/jp/files/131016.pdf

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