一般集団でのDB有病率・臨床的特徴は明らかでない
大阪公立大学は11月12日、男女2万9,268人を対象に呼吸調節機能不全症(dysfunctional breathing:DB)の有病率を解析した結果を発表した。この研究は、同大大学院医学研究科呼吸器内科学の平位佳歩氏(博士課程4年)、山田一宏講師、浅井一久准教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Respiratory investigation」に掲載されている。
DBは呼吸困難、過換気、頻繁なあくび、胸部圧迫感などの症状が断続的または慢性に起きる疾患である。これらの症状により健康関連の生活の質が損なわれる可能性があるが、現時点でDBは十分に認識されておらず、誤診や過小診断が頻繁に起きている。近年、気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)におけるDBに関しての報告が散見されるが、一般集団におけるDBの有病率や臨床的特徴は明らかになっていなかった。
インターネット調査の2万9,268人分のデータを活用し、DB有病率など解析
今回の研究では、全国規模のインターネット調査であるThe Japan Society and New tobacco Internet Survey(JASTIS)のデータを使用し、2024年1月24日~2月27日の間に実施されたJASTIS2024の結果を用いてDBグループと非DBグループのそれぞれ3,207人と2万6,061人の参加者を含む、2万9,268人を対象に単変量ロジスティック解析を行った。
DBの有病率は11.0%、てんかんや脳血管疾患との関連が判明
研究の結果、DBの有病率は11.0%であり、呼吸器疾患とDBの存在には有意な関連が認められた。加えて、てんかんや脳血管疾患などの非呼吸器系疾患においてもDBと関連が認められた。これらの結果から、一般集団においてDBは比較的一般的な疾患である可能性が示唆された。
喫煙・呼吸器疾患によりDB有病率がさらに上昇
また、喫煙と呼吸器疾患の存在がDBの有病率をさらに上昇させることも判明した。
今回の研究によって、DBが一般集団において比較的一般的であることが示された。今後は喫煙や各種疾患とDBとの因果関係などを解明し、臨床現場に役立つ知見へと発展させていきたいと考えている、と研究グループは述べている。
▼関連リンク
・大阪公立大学 プレスリリース


