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アトピー性皮膚炎、アムリテリマブのP3相試験で主要評価項目を達成-仏サノフィ

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2025年09月24日 AM09:10

T細胞を枯渇せず、免疫調節因子OX40リガンドを阻害する完全ヒトモノクローナル抗体

仏サノフィ社は9月4日、OX40リガンド(OX40L)阻害の完全ヒトモノクローナル抗体amlitelimabについて、中等症から重症のアトピー性皮膚炎を持つ12歳以上の患者を対象に行ったグローバルCOAST 1第3相試験につき、肯定的な結果を発表した。

Amlitelimab(SAR445229、KY1005)は、T細胞の枯渇を招くことなく、重要な免疫調節因子であるOX40リガンドを阻害する完全ヒトモノクローナル抗体である。Amlitelimabは新規の作用機序を介してT細胞の枯渇を招くことなく免疫系の過剰な活動を正常に戻す働きを持つ。中等症から重症のアトピー性皮膚炎の治療薬としての開発を進めるほか、中等症から重症の喘息、全身性硬化症、セリアック病や円形脱毛症を対象とする開発を進めている。

24週時点の皮膚病変消失・疾患重症度改善、統計的に有意な有効性示す

今回の試験では、amlitelimabがT細胞の枯渇を招くことなく、4週間隔投与(Q4W)と12週間隔投与(Q12W)において全ての主要評価項目と重要な副次評価項目を達成。24週時点の評価では、皮膚病変の消失と疾患重症度の改善において、プラセボとの比較で統計的に有意かつ臨床的意義のある有効性が示された。Amlitelimabの忍容性は良好で、新たな安全性上の懸念は認められなかった。

主な評価項目は、4週間隔または12週間隔でamlitelimabの投与を受けていた患者を対象に投与24週時点で測定された。主要評価項目は、米国と米国がデータを参照する国々では、試験責任医師が、アトピー性皮膚炎の科学的妥当性が確認された全般的評価尺度(vIGA-AD)を用いて、0(消失)または1(ほぼ消失)と評価され、かつベースラインから2ポイント以上のスコア減少がみられた患者の割合とした。EUとEU参照国と日本では、複合主要評価項目として2項目が設定された。1つ目はvIGA-ADが0(消失)または1(ほぼ消失)、かつベースラインから2ポイント以上のスコア減少がみられた患者の割合で、2つ目は湿疹面積・重症度指数スコアの75%改善(EASI-75)を達成した患者の割合であった。

試験の重要な副次評価項目として、vIGA-ADスコアが0(消失)または1(ほぼ消失)でベースラインから2ポイント以上減少し、紅斑がわずかに認められる程度まで改善した患者の割合や、PP-NRS(Peak Pruritus Numerical Rating Scale、ピーク時そう痒数値評価尺度)がベースライン時点で4ポイント以上だった患者のうち、4ポイント以上のスコア低下がみられた患者の割合なども評価され、いずれも24週時点で両群とも達成した。

COAST 1試験では、いずれかの群で5%以上認められた試験治療下で発現した有害事象(TEAE)は、アトピー性皮膚炎、上咽頭炎、上気道感染であった。これらの有害事象はいずれもプラセボ群の方がamlitelimab群よりも高頻度であった。注射部位反応は、amlitelimab群の方がプラセボ群よりも高頻度であった(amlitelimab群2.2%、プラセボ群0.7%)。いずれの有害事象も軽度で、いずれの患者も試験薬の投与を継続した。発熱(amlitelimab群1.1%、プラセボ群0.7%)と悪寒(amlitelimab群0.4%、プラセボ群0%)の発現率は低値であった。有害事象、重篤な有害事象、投与中止に至った有害事象の発現率は、プラセボ群とamlitelimab群で同様であったとしている。(QLifePro編集部)

 

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