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思春期のオンラインゲーム不適切利用、メンタルヘルス不調に関連-NCNPほか

読了時間:約 2分49秒
2025年09月03日 AM09:10

オンラインゲーム不適切利用、中断でいらいら/学業や人間関係に支障など

国立精神・神経医療研究センター(NCNP)は8月8日、思春期にオンラインゲームを不適切に利用すると、抑うつ・不安・精神症(幻覚や妄想のような体験)・幸福度低下などのメンタルヘルス不調につながることを確認し、さらに注意欠如・多動傾向の強さが、オンラインゲームの不適切利用を経て、メンタルヘルスの不調につながることも示したと発表した。この研究は、同センター精神保健研究所の成田瑞室長、東京都医学総合研究所社会健康医学研究センターの西田淳志センター長、東京大学大学院医学系研究科の笠井清登教授(同大学国際高等研究所ニューロインテリジェンス国際研究機構(WPI-IRCN)主任研究者)らの研究グループによるもの。研究成果は、「Communication Psychology」に掲載されている。


画像はリリースより
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オンラインゲームの不適切利用は、若者にしばしば見られる問題である。ここでいうオンラインゲームの不適切利用とは、中断するといらいらする、プレイ時間を減らすことができない、嫌な気分のときにプレイする、学業や人間関係に支障をきたす、のめり込みを隠すために嘘をつく、などの状態を指す。過去の研究ではオンラインゲームの不適切利用とメンタルヘルス不調の相関関係は示唆されていた。しかし、「因果関係」を説明できる研究は限られていた。

3,171人対象、思春期オンラインゲーム不適切利用でのメンタルヘルス不調リスクを検証

そこで今回の研究では、因果関係を推定できる厳密なデータ解析を行い、思春期にオンラインゲームを不適切に利用すると、メンタルヘルス不調のリスクが高まるかどうかを検証した。2002~2004年に生まれた思春期児童3,171人を10歳から追跡した調査(東京ティーンコホート調査)のうち、12歳、14歳、および16歳の3時点で調査したデータを用いて検証した。14歳時点でのオンラインゲームの不適切利用と、16歳時点での抑うつ・不安・精神症・幸福度低下との関連、12歳時点での注意欠如・多動と、14歳時点でのオンラインゲームの不適切利用との関連、14歳時点でのオンラインゲームの不適切利用が、12歳時点での注意欠如・多動と16歳時点での抑うつ・不安・精神症・幸福度低下との関連を媒介するかという3つの仮説を、二重ロバスト推定や因果媒介分析などの手法を用いて調べた。I-PACEモデルという理論からは、注意欠如・多動が、オンラインゲームの不適切利用と相互作用して、メンタル不調に到りやすくなる可能性が示唆されているため、同研究でもこのようなメカニズムを検証した(ここでは精神病理・衝動を抑える力の低下=注意欠如・多動;不適切な行動=オンラインゲームの不適切利用;長期的にわたる悪影響=メンタルヘルス不調)。

分析では、年齢、性別、BMI、知能指数、親の年収、近隣環境などの影響を取り除くよう、統計学的に調整した。さらに、元々メンタルヘルス不調があった人は除外して分析した。これにより、メンタルヘルス不調がオンラインゲームの不適切利用の原因である可能性(原因と結果の逆転)を厳密に防ぐようにした。

オンラインゲーム不適切利用、2年後の不安1.98倍・精神症1.72倍増など

上記の因果推論の手法を用いた結果、オンラインゲームの不適切利用が、2年後の抑うつ・不安・精神症・幸福度低下のリスクをそれぞれ1.62倍、1.98倍、1.72倍、1.54倍に増加させることが示された。

ADHD、2年後のオンラインゲーム不適切利用に関連

また注意欠如・多動は、2年後のオンラインゲームの不適切利用に関連していた。さらに、注意欠如・多動とメンタルヘルス不調の関連のうち、12.3〜29.2%はオンラインゲームの不適切利用によって媒介されていた。

オンライン接続できるゲーム機やスマホの普及に伴い、日本のオンラインゲームのプレイ人口は25%程度と高い水準で推移している。とりわけ若者はプレイ人口が多いため、今回の研究で示されたようなメンタルヘルス不調のリスクを認識しておく必要があると考えられる。この知見は特に注意欠如・多動傾向を持つ者にとって重要であり、オンラインゲームの不適切利用を控えることでメンタルヘルスの安定につながる可能性も示唆される。オンラインゲームを楽しくプレイできているうちは良いが、上記のような不適切な傾向が出てきたら、適切なサポートを受け、オンラインゲームから離れられるようにするなどの対策が重要と考えられる、と研究グループは述べている。(QLifePro編集部)

 

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