拡大新生児スクリーニング後の精密検査、新生児の尿・血液の採取が負担に
アンジェス株式会社は8月26日、アンジェスクリニカルリサーチラボラトリー(ACRL)におけるムコ多糖症の二次スクリーニング並びに経過観察、治療効果のモニタリング等を目的とした「バイオマーカー検査」の受託を2025年9月1日より開始すると発表した。
ACRLでは、2021年4月1日より希少遺伝性疾患の可能性の有無を判断するための「拡大新生児スクリーニング検査」の受託を開始した。この「拡大新生児スクリーニング検査」では、新生児のかかとから少量の血液を採取し、その血液を使用して対象疾患の可能性を判断する。この検査で「陽性」となった場合、疾患の有無を確定させるための精密検査が必要となる。
「拡大新生児スクリーニング検査」におけるムコ多糖症の陽性者は数千人に1人の割合で発見される。しかし、その後の精密検査で実際にムコ多糖症であると判明するのは、陽性者数十人のうち1人しかいない。この精密検査は、対象となる被験者が新生児であることから、その検体である尿や血液の採取が、新生児と医療関係者双方に負担となっている。また、生後間もない子どもが精密検査を受けることは、両親にとって精神的な負担が大きいものである。
精密検査での偽陽性の被験者を10分の1以下に減らすことが可能に
ACRLでは、これらの負荷をなるべく軽減するため、スクリーニング検査で使用した乾燥ろ紙血を用いたグリコサミノグリカン(glycosaminoglycan:GAG)定量検査(バイオマーカー検査)により、ムコ多糖症である可能性の高い被験者を選別する二次スクリーニングの方法を開発した。この二次スクリーニングを実施することで、これまで「拡大新生児スクリーニング」で陽性となり、精密検査の結果ムコ多糖症ではないと診断される偽陽性の被験者を10分の1以下に減らすことが可能となる。これは、すなわち精密検査の検体を採取する被験者やその両親、医療関係者の数を減らすこととなり、関係者にとって大きなメリットになる。
今回のバイオマーカー検査の受託開始により、ACRLでは「スクリーニング検査」、確定検査としての「遺伝学的検査」、そして二次スクリーニング、治療効果のモニタリングのための「バイオマーカー検査」を一貫して提供できる体制が整った。当社は、希少遺伝性疾患の診断から治療に至るまでの包括的な検査を提供することで、希少遺伝性疾患の治療に携わる医療関係者の負担を軽減できるよう努めている、と同社は述べている。
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・アンジェス株式会社 プレスリリース


